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ゼネコン再編・淘汰は第2幕へ−。デフレと不景気が日本経済を直撃するなか、最もドラスティックなのがゼネコン界。3月に佐藤工業、7月に大日本土木が破綻し、先週は債務超過寸前の新井組に対する金融支援が発覚した。公共事業の縮小でゼネコンの環境が悪化する一方で、株価低迷と不良債権処理で体力が疲弊する大手銀行にとって、もはや、不良ゼネコンを延命させる余力はない。「次の破綻はどこだ」。準大手や中堅ゼネコンに、容赦なく「淘汰」の2文字が忍び寄る。
「『次のターゲットは生保(の倒産)』などと叫ばれて、ゼネコンからの注目が薄れてきているが、そういうときこそ要注意した方がいい」。こう語るのは国土交通省の関係者である。
案の定、23日、関西を地盤とする中堅ゼネコンの新井組が三井住友銀行から数百億円規模の債権放棄などの金融支援を受ける見通しになり、債務超過=破綻の寸前だったことが判明した。
「破綻に備え、準大手や中堅ゼネコンの予定稿を準備しているが、新井組はノーマークだった。債務超過予備軍という黄色信号のゼネコンがかなりあることを示している」(経済専門紙記者)
最近、ゼネコン業界の債権放棄(借金棒引き)組では、昨年12月の青木建設(民事再生法適用申請)と佐藤工業(会社更生法適用申請)、棒引き組以外では大日本土木などが破綻している。
市場では新井組の一件を間近にしても、「だいたいこれで(ゼネコンの)倒産は一休みで、いますぐ動くことはないだろう」(準大手証券)との見方で一致する。
だが、取り巻く環境は悪化するばかり。
日本建設団体連合会の受注調査(会員65社対象)をみても、平成13年の受注総額は前年度比8.1%減の14兆1820億円。2年度の27兆円と比べると、実に半減している。
今年度予算では公共事業費が10%カット、来年度予算概算要求基準(シーリング)も3%カットなど、「公共事業のパイ」は縮小を続ける。
その半面、建設業者数は微増傾向にある。
「中小零細を含めると58万社に迫る勢い。建設業は一社が潰れると、従業員が会社を興す傾向があり、1社倒産で3社が生まれるといわれる」(建設アナリスト)
デフレなど構造的な悪循環に加え、ドロ沼状態の不良債権処理と株価低迷に伴う巨額の含み損を抱え、銀行の体力はますます消耗し、「米びつが空っぽに近い状態」(都市銀幹部)にある。
国交省関係者は「銀行の本音はゼネコン救済どころじゃない」と前置きし、債権放棄など金融支援を受けたゼネコン10社(新井組を除く)の現状を説明する。
みずほフィナンシャルグループがメーンバンクである(1)飛島建設(2)ハザマ(3)佐藤工業。三井住友銀行がメーンの(4)フジタ(5)熊谷組(6)三井建設。
UFJホールディングスが(7)大末建設。大和銀ホールディングスが(8)長谷工コーポレーション(9)青木建設。群馬銀行と足利銀行が(10)井上工業。
9年から12年の間に、少ないところで143億円(井上工業)、最大で6400億円(飛島建設)もの債務を免除された10社である。
「みずほの3社には大きな問題はないだろう。青木建設は小松建設工業が再建支援を打ち出し、先日、減資した長谷工も当面の動きはなさそう。フジタも特に問題はないが、再建策がやや気になる」(国交省関係者)
来春、三井、住友両建設が経営統合するが、有利子負債は合計で約5950億円。合流予定のフジタの負債分約8790億円を加えると、約1兆4740億円にも膨れ上がる。
そこで、フジタは5月に会社分割案を公表している。本業の建設事業(関連会社20社程度を含む)を10月1日付で設立する新「フジタ」に引き継ぐものである。
不採算部門の不動産事業などを切り離し、建設に強い三井と、土木に精通する住友の統合は相互補完的メリットがあるが、フジタが加わると建設部門の入札機会は確実に減少する。
「分割・合流案を三井住友銀行や三井、住友両建設がすんなり飲むかどうか」(業界関係者)
公共事業のパイが減少するなか、ゼネコン再編・淘汰の第2幕が加速するのは間違いない。
別の建設アナリストは、「親会社の近鉄が支援の余力がなくて破綻した大日本土木のように、いままで債権放棄など金融支援を受けていない中堅ゼネコンも危ない。銀行はここ数年、破綻を想定して引当金を死に物狂いで積んでいる」と物騒な業界事情を明かす。
民間信用調査機関の帝国データバンクが8月中旬に発表した7月の「全国企業倒産統計」に、こんな一節がある。
<政府、金融庁がこれまで否定し続けてきた公的資金再注入の必要性を認め、公的資金を活用して金融再編支援に乗り出す動きも、大手銀行を始めとする金融機関の体力がいよいよ限界に近づきつつあることを物語っている>(原文のまま)
脆弱したゼネコンを支えてきた銀行自体が脆弱するいま、何が起きても…。もちろん、それは誰も望まないことではあるが。