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不気味な安値こう着相場――スクランブル 日経金融新聞
23日の日経平均株価は4日続伸した。前日のニューヨーク市場でダウ
工業株30種平均が約1カ月半ぶりに9000ドル台を回復。23日の取引時間中
には円相場が1ドル=120円台となり、ハイテク株主導で株価が上向く材
料がそろった。それでも一気に日経平均が1万円に乗せるほどの勢いは
みられない。
8月に入って17営業日で日経平均が前日比200円以上の値動き(終値ベ
ース)があったのは上げ下げ各2回。日々の相場はそれなりに変化があ
るが、月中の変動幅は6日の安値9501円から、9日の9999円までわずか49
8円。月中で458円にとどまった97年6月以来の値動きの乏しさだ。
9500円と1万円という節目にそれぞれ1円だけ差がある8月の高値と安
値。レンジを意識した相場展開について岡三投資顧問の伊藤嘉洋常務は
「決して居心地がいいわけではないが、現在の市場心理をそのまま映し
出している」という。
国内景気、企業業績の先行きに対する懐疑と、生命保険会社も含めた
国内の金融機関のほとんどが含み損を抱えるとされる水準まで残り1000
円程度に迫った警戒感とが微妙に均衡しているとの見方だ。
複雑な投資家心理を背景にしたこう着相場はきっかけ次第で、波乱場
面に転じやすい性質をはらむ。
例えば、97年5月に日経平均が2万円台を回復し、7月末まで2万円近辺
でもみあった局面。この時は8月1日に起こった東京証券取引所の売買シ
ステム障害を機に下げに転じ、98年10月の安値1万2879円まで段階的に
水準を切り下げた。
2000年春に情報技術(IT)バブルがはじける直前もこう着場面があ
った。97年以来の2万円乗せを達成した同年2月の日経平均の月間値幅は
640円にとどまった。この後も一時的に値上がりする場面はあったが、
米株安に連れて市場心理は一気に弱気に傾いた。
同じこう着相場でも97年、高値警戒感を背景にした2000年当時と、バ
ブル崩壊後安値に迫る現在の水準とでは様相が決定的に異なる。「カラ
売り規制などで仮需の厚みも乏しく、持ち合い解消売りといった売り圧
力に対する相場のもろさは増している」(クレディ・スイス・ファース
ト・ボストン証券の市川真一ストラテジスト)との指摘もある。転機の
見極めが重要な局面だ。
来月11日の米国の同時テロ一周年、それと同時期に予定されている日
米首脳会談などがスケジュール面から見た節目との見方がある。相場が
上向くきっかけとして、米国の景気が再加速する兆候が表れ、株価の上
昇や、国内景気に対するさらなるてこ入れ策を挙げる向きも多い。
これまでのこう着局面の多くは下げ相場への転換点だったが、その一
方で、底入れから上げに転じる契機は一時的な急落だったのも経験則と
言える。政府の危機意識を喚起し、今春のカラ売り規制のようななりふ
り構わぬ対策へと駆り立てる「ショック療法」となるケースも多かった
からだ。
だが、現在の株価水準は一時的な株安を起爆剤として期待するにはあ
まりにリスクが高い。自律的な相場上昇につながる要因が見いだしにく
い中で、安値圏でこう着する相場には不気味さに身構える投資家心理が
表れている。
(沢田勝)