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「(邦銀が抱える)不良債権の処理を早急にしなければならない」
一昨日(9月11日)、国際通貨基金(IMF)のケーラー専務理事が都内のホテルで開いた記者会見の席上、こう指摘してみせた。その上で次のように続けたのである。
「公的資金を使って、不良債権処理と銀行再編の加速を検討することを支持する」
“公的資金を使った不良債権処理と銀行再編”。この日のケーラー発言のエッセンスはまさにこの一点に集約されていたとみていいだろう。
「改めて指摘するまでもないことだが、IMFの主張イコール米ホワイトハウスの意向であることが多い。今回のケースもそうだとすると、11日の“ケーラー発言”をきっかけにしていろいろと事態が動き出す可能性が高い」
大手都銀役員がこう言ってみせる。
この大手都銀役員の物言いからも明らかなように、前述の“ケーラー発言”は銀行業界に対して微妙なハレーションをもたらすことになったといえるだろう。
「とは言っても、既に公的資金を導入し自己資本の増強を図っている大手行に対し、再び公的資金を投入し不良債権処理あるいは再編を促すというシナリオは、全くナンセンスだといえる。世論がそれを許さないだろう」(前述の大手都銀役員)
筆者の見る限りでも、そうした“見立て”は極めて正しいといえるだろう。
こうした状況の中でひそかに浮上しつつあるのが、整理回収機構(RCC)による不良債権の簿価買い取り、というプランだ。
そもそもこのプランは、9月9日に開かれた「政府・与党連絡会議」におりて与党側が提示したデフレ対策に盛り込まれたものだ。
「つまりRCCによる不良債権の買い取り価格について、現行の“時価”から“簿価”に引き上げる、というプランです。このプランの最大のポイントは、次の部分にあります。RCCがその買い取った不良債権を最終処理する段階で間違いなく損失が発生することになる。その損失を公的資金によって穴埋めしてやる、というものなのです」(大手都銀幹部)
もっとも、このプランについては、金融庁サイドが全面的に否定的なスタンスをとっているというのが実情だ。
高木祥吉金融庁長官自身も九日の会見で、
「現在の仕組みでも不良債権は予定通り処理できる」
と発言し、RCCによる不良債権の“時価”による買い取りについて否定的な立場にあることを改めて強調してみせたのです。
「しかし、このRCC活用問題は、一部の経営不振大手企業の救済問題とリンクすることでとたんに現実味を帯びてくるのではないか」(大手銀行経営中枢幹部)
ここでいう“一部の経営不振大手企業”とは、ズバリ言ってダイエーのことを指す。
「ダイエーについては、これまでも数千億円単位の金融支援策を実施してはみたものの、本業の不振がたたって一向に再建のきざしが見えてこない。このままいけば今年度決算が見えてくる今年末から来年度初頭にかけて、いわゆる“ダイエー問題”が再燃してくることは必至の情勢だ、少なくともマーケットはそう読んでいると言っていいだろう」(大手銀行役員)
現在、ダイエーに対する与信は、UFJ銀行、三井住友銀行、みずほコーポレート銀行といった大手銀行3行に過度に集中しているのが実情だ。
従って予想される“ダイエーリスク”は、この3行を直撃することになるのは必至だ。
このリスクに対してRCCによる不良債権の“簿価”買い取りは極めて有効に作用するという。この問題に関する今後の動きには要注目だ。