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「どうやら米国の景気回復は大きく遅れることになりそうだ。というよりもさらなる景気後退も十分にありうる状況になってきた。いくつかの経済指標が如実にそのことを物語っているといえよう。これまで世界経済の牽引(けんいん)役を務めてきた米国経済だが、ここへ来てのさらなる経済悪化は、日本経済に対しても大きなインパクトを与えることになるだろう。特に日本の株式マーケットへの影響は深刻だ」
大手銀行のマーケット担当責任者がこう言ってみせる。
先日、米モーゲージバンカーズ協会が今年度第2四半期(4月〜6月)における住宅ローンの債務不履行状況を発表した。
その発表によれば、第2四半期の不履行率は、第1四半期(1月〜3月)から0.12%アップし、4.77%となった。また、住宅ローンの返済遅延による担保物件の差し押さえ率は0.40%(第1四半期は0.37%)にまで上昇したのである。
米モーゲージバンカーズ協会は、こうした統計を1953年以降とり続けているが、住宅ローンの債務不履行率、差し押さえ率ともに過去50年間で最悪の状況に陥ってしまったのである。
「こうした状況に陥った最大の要因は、失業率の上昇にあるとみていいでしょう」(前述のマーケット担当責任者)
米国の失業率は、第2四半期において平均五・九%に達したが、これは対前年同期比1.4%の上昇となった。「結局のところ失業に追い込まれたために、住宅ローンの返済ができなくなったということに他なりません。そしてこうした状況は、低所得者層に行くほど、その傾向は強くなるのです−」(前述のマーケット担当責任者)
そもそも米国における住宅投資は、これまで景気の下支え要因となってきたことは間違いない。
しかし、前述の一連の指標から判断すると、その住宅投資にブレーキがかかってきたと見て間違いないだろう。
米系大手銀行幹部が言う。「債務の不履行や差し押さえ率の上昇によって、米国の金融機関サイドも住宅ローンの貸し出しに対して慎重になってきているのです。その結果、住宅ローンの伸び自体も急激に鈍化しつつあると言っていいでしょう」
“ニューエコノミー論”に代表される90年代の米国の“絶好調”とも言える好景気には、個人消費が大きく寄与してきたことは間違いない。「しかもそうした個人消費は、いわゆる“借金”を前提に拡大してきたものなのです。ところが失業リスクが増加してきたことで、“借金”そのものに急ブレーキがかかりつつあるようです」(米系大手銀行幹部)
こうした状況から考えて、米国経済の回復のタイミングは、大きくずれ込むことになるのは必至だ。
「場合によっては、来年後半にずれ込むことも十分にあり得る」(米系大手銀行幹部)
そして注目すべきなのは、そうした米国経済の影響をモロに受けることになる日本経済の今後の動向だ。
「今後アメリカが“ドル安政策”をとってくることは間違いない。そのことを前提に日本サイドの経済政策運営を考えていかなくてはならないだろう」(財務省幹部)
日本経済は、まさに正念場を迎えつつあるようだ。