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米国市場で広がった利下げ観測を背景に、米国、日本ともに株式市場は小康状態を保っている。しかし平均株価は1万円を割り込んだままで、国内金融機関の多くが保有株式に含み損を抱えるという“危険水域”にある現実は直視せざるを得ない。こうした極めて不安定な状態の中、先週6日の商いで市場関係者の耳目を集める取引が執行された。みずほホールディングス<8305>株式が超大口の売り注文に見舞われたのだ。「金融システム不安が確実に忍び寄っている」(米系運用会社ファンドマネージャー)との不安が高まりつつある。
●野村証券から超大口の売り
この稿で取り上げるのは、みずほ株が急落し、またぞろ銀行危機が起きる、という単純な筋立てではない。同日の同社株は、一時5日引値比2万1000円安の25万8000円まで売り込まれたものの、26万2000円で引け、「ハイテク株と比べれば値保ちが良かった」(同)といえる。
問題は誰が同社株を売ったのかである。6日に巨額の売り注文を執行したのは野村証券。1日で約1万2000株を売り、筆頭の売りに。2位のUBSウォーバーグの約4000株、3位のモルガン・スタンレーの約3300株と比較すれば、その規模の巨大さが際立つ。この日、野村は買い手サイドには名を連ねなかったことから、この注文は野村の自己売買部門の注文でもなく、ましてクロス取引でもない。
翌7日、同証券は1035株を買ったが、6日の取引とはバランスがとれないことから、「顧客の売り切り注文であることは明白」(準大手証券)。問題は相場下落局面で、なぜこんな大規模の売りを出す必要があったか、である。
●親密生保のあがき?
通常、金融機関からの持ち合い解消売りの注文は、対象銘柄の1日の売買高の数%に収まるようにとの指示が出る。売りの中身が持ち合い解消だと他の投資家に判明すれば、「たちまち投機筋の餌食になる」(中堅証券)ためだ。しかし6日の場合はこうした常識を覆す手法。「決めたロットをとにかくさばいてほしい」(同)というやり方だ。換言すれば、「よほど切羽詰った事情がある」と大半の関係者には映った。
野村関係者は詳細を一切明らかにしないが、市場では「売りオーダーを出したのはみずほの親密生保ではないか」(先の米系)との観測がもっぱら。みずほの大株主となっている一般事業会社で「1回の売買でこれほど巨額の売り需要を持つ会社はない」(銀行系証券アナリスト)ためだ。
7月からの相場急落局面で、株式含み損にあえいでいるのは大手銀行だけではない。大量の株式を保有する生命保険会社も同様だ。「今回の下落局面を経て、含み益を保っているのは日本生命と明治生命くらいしかない」(シンクタンク関係者)というのは周知の事実。含み損処理にあえぐ“親密生保説”に真実味が増した形だ。
●大口の売り、上値圧迫は必至
「今期の持ち合い解消売りは、おせじにも進んでいるとは言いがたい」(金融当局筋)。同筋は6日の取引が生保によるものかは確認できないとしながらも、「相場下落に歯止めがかからない中で、損失をある程度確定させたとしても不思議ではない」と語る。
8日の東京株式市場は、米国株の続伸を支援材料に平均株価が一時1万円の大台目前に迫ったが、「金融法人の売りに阻まれ」(欧州系投信)、あっさりとマイナス圏に沈んだ。みずほ株への超大口売りのようなケースは、まだまだ序の口ととらえた方が良いだろう。
(相場 英雄)
・「信用取引規制」は株価急落を招く〜機関投資家の不満爆発
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200208/09/20020809104005_22.shtml