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(回答先: ご丁寧に再度講義いただきありがとうございます。 投稿者 Ddog 日時 2002 年 8 月 12 日 19:00:45)
Ddogさん、こんばんわ。
「円高になった分投資を行なった経済主体は円ベースでの損失となり、国民経済も損失したことにはならないのでしょうか」というDdogさんの問いかけですが、
>ここで主張しているのは、マクロでなく個々の経済主体、企業であったり、個人で
>あったり銀行であったりするわけですが、その個々にとっては、円高で被る損失につ
>いて、為替差損が存在するわけです。そのことがひいては、マクロで円が強くなって
>も、国民経済にとってマイナスに作用することはないでしょうか?ということを、問
>うてます。
まず、対外投資>国内投資であれば、短期的には、国民経済にとってマイナスに作用します。
次に、円高傾向を契機に、貿易収支が恒常的に赤字なれば、国民経済にとってマイナスに作用します。
対外投資>国内投資であっても、きちんと回収できたり返済される対外投資で経常収支が黒字であれば、“押し目買い”ができますから、損失をカバーできるというか、支配権まで手に入れることができます。
円高で一時的に貿易収支が赤字になっても、それを跳ね返すだけの「労働価値」上昇力を持っていれば、かえって強くなります。(貿易収支と経常収支がともに赤字になれば、円安傾向にはなりますが...)
経常収支が恒常的な赤字になり、防ぎ切れない円安になるほうが、国民経済に打撃を与えます。(政策的に打つ手が限られてしまうからです)
このようなことから、自国通貨高になる経済的条件を具備している国民経済が強いと考えています。
>概念としての通貨供給量、需要供給の関係は、理解しています。私が問いたいのは、
>労働価値の通貨的価値と、パリティーというか、労働価値の実質的価値とのの乖離
>が、存在し続けるのではないかという疑問です。ですから計量化できないのではない
>かと疑問を持ちました。計量化された数値が実際の為替等で表現された場合、しばし
>ば矛盾点が出るような気がします。
日本という国民経済の枠内で見る限り、通貨量増加ペースと「労働価値」上昇ペースの関数関係は、金融資産取引に滞留する通貨量を考慮すれば、データ的に追随性が高いと判断しています。
ドル円のレート推移も、短期変動はともかく、長期変動としては、日米の通貨量増加ペースと「労働価値」上昇ペースの関数関係の差異に規定されたものだと判断しています。
但し、米ドルが国際基軸通貨であること、国際的な通貨の移動が増加していること、米国当局の意向がレート形成に大きな影響を与えること、日本当局が円安を志向しレート形成に介入できる通貨を大量に保有していることなどから、短期的な円ドルレートは振られていると考えています。
上昇するにしろ、下落するにしろ、株価は、直線的に変動するわけではなく、波動的に変動するということと同じだと思っています。(株価の場合は、全体的な企業収益の見通しに逆らって上下動はできないと思っています)