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「道路関係4公団民営化推進委員会」の6、7両日の集中審議では、「無駄な道路」の典型と言われる本州四国連絡橋公団が抱える問題の根深さが浮かび上がった。本四公団については「どんな会社にするか」よりも「どう借金を返済するか」が最優先の課題だが、国と地元自治体の責任の押しつけ合いも絡んで、22、23両日の次回集中審議でも、方向性を見いだすメドは立っていない。本四公団は「民営化議論のお荷物」になりつつある。
「本四公団を他の3公団でどうカバーするかが重要。産んだ子を見捨てることはできない」
集中審議の初日、4公団ごとに将来の財務状況を詳細に検討していくことが決まったが、松田昌士委員(JR東日本会長)は、4公団一体で処理すべきだと主張した。本四公団だけを切り離し、「税金投入で処理」という安易な結論が導き出されるのを警戒した意見だった。
地元の有力政治家を巻き込んだ誘致合戦を受け、採算性を度外視して3本の橋を架けた結果、有利子負債は3兆8000億円に膨れ上がった。今では、料金収入で金利さえも返済できず、放置すれば「雪だるま式」に借金が増える。
このため、国と地方自治体が2対1の比率で負担している計800億円の出資金のほか、政府は01年度から有利子負債を抑える目的で無利子貸し付けも始めた。この枠組みが維持できれば、2045年度末に償還が完了するが、それには(1)交通量が予測通り伸びる(2)出資金に関する現行の取り決めが切れる12年度以降も地元が出資に応じる(3)03年度から料金を値上げする――という「最も甘い見通し」(民営化委事務局)が条件。一つでも崩れれば破たんへの道をたどる。
民営化委が7月30日に開いた地元自治体からのヒアリングで、香川県の真鍋武紀知事は「本四連絡橋は国家プロジェクト。責任は国の財源で取ってもらいたい」と主張。愛媛県の加戸守行知事も「無限責任と言われたら四国は滅びる。徳川幕府は赤字になったからといって借金のツケ回しはしなかった」と訴えた。
委員から地元の無責任ぶりを指摘する意見が相次いだが、地元選出の閣僚経験者は「地元は『負担しない』とは言えないが、応分の負担に限られる」とクギを刺す。巨額の「官製不良債権」をめぐり、だれも責任を取ってこなかったツケは大きく、本四公団問題の解決は一筋縄ではいきそうもない。
【中田卓二】