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05年度からの全面導入が固まった企業の減損会計の狙い、企業への影響をまとめた。【池畠恵治、岩崎誠、谷川貴史】
Q 減損会計とは?
A 企業が所有する土地や建物など事業用の固定資産の収益性が低下し、資産としての価値が帳簿上の価格を大きく下回った場合、簿価を実際の価値が減額し、差額は決算で特別損失として計上する会計処理のことだ。例えば工場の土地・建物・設備や賃貸ビルが生み出す収益と簿価を合算しても、その資産の実際の価値を下回ると減損処理する。
Q 導入の狙いは?
A 将来的に発生する可能性が高い損失を前倒して処理させ、企業の経営実態をより正確に世の中に公開する効果がある。これまで財務諸表に表われなかった不良資産をあぶり出すことで、企業は収益性が低い事業部門の見直しを迫られことになり、事業の再構築や業界再編を加速させて経済の再活性化につなげる狙いもある。
Q 賃貸ビルを抱える不動産業界などへの影響が大きい?
A 三菱地所や三井不動産など大手不動産会社は02年3月期決算までにほとんどが、すでに前倒しで対応している。不動産には、販売用不動産と、貸しビルなどの事業用不動産がある。不動産・建設業界は00年3月期から、まず販売用不動産に時価会計を導入した。その時から「次は事業用不動産」という意識があったから、対応は比較的進んでいる方だろう。
Q 東京圏の商業地の公示地価はピークの91年に比べ02年は4分に1以下に下がってるよ。
A 古くからの会社は、それでも時価より簿価の方が安い土地をたくさんもっているから、それで評価益を出して損を埋めるという処理ができた。ただ、新しく参入したビル会社などはそういう処理ができない。もう一つ、販売用不動産に時価会計が導入された際、不動産・建設業界の中の一部では、一時しのぎで販売用不動産を事業用不動産に移し変えたという問題がある。そういう会社は、今度は待ったなしで大きな損失の計上を余儀なくされる。
Q 建設業界はどう?
A 02年3月期決算で1000億円以上の特別損失を出した大手ゼネコン(総合建設会社)が目立ったのは、子会社を含めて減損会計を先取りしたためだった。販売用不動産への時価会計導入前後に債権放棄を受けた準大手ゼネコンの、いくつかが破たんしたり、2度目の債権放棄を受けたのも、減損会計導入のためだ。各社は「減損会計への対応は終えた」と言っているが、疑念は残る。
Q 全国各地に自社店舗という固定資産を持つ流通業界にも財務改善圧力がかかるのでは?
A 自社店舗を2割程度に抑えリースを多用するイトーヨーカ堂は例外として、流通各社はバブル期の過剰出店は整理統合の対象としているが、簿価が現状より割高の店舗も少なくない。このため、「不動産入手時期を調べ、評価減の対象になりそうな物件について含み損の試算作業を始める」(大手百貨店)と、減損会計に備える動きが始まっている。