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「今年9月1日に営業をスタートさせる三菱証券のIPO(株式公開業務)部門には要注意だ。三菱証券のIPO部門は、証券大手3社に匹敵するだけの実力をすでに保持していると見ていい。それだけに、既存の証券会社の間では、三菱証券の登場により、IPOビジネス競争が激化することは必至だとして、三菱証券に対する警戒感が高まりつつあるのが実情だ−−」
大手証券会社役員がこう言ってみせる。
このコメントに登場する“三菱証券”とは、三菱東京フィナンシャルグループ(MTFG)系証券四社−−国際証券、東京三菱証券、東京三菱パーソナル証券、一成証券−−が大同合併して誕生する証券会社だ。
「そもそもこのIPO部門は、三菱証券への参加が予定されている東京三菱証券がこれまで非常に力を入れてきた分野なのです。東京三菱証券は、IPO分野では日本でも指折りのスペシャリストとされる人物を3年前にヘッドハンティングし、IPO部門のヘッドに据え、組織を育成してきたのです。そしてその成果がここへ来て一気に開花しようとしているのです」(東京三菱銀行役員)
このコメントに登場する“IPO分野では日本でも指折りのスペシャリスト”とは、東京三菱証券の田中奉文取締役のことを指す。
田中取締役は、旧日興証券の出身で、同社の公開引受部長、投資銀行本部副本部長、と企画法人本部福本部長を歴任。「旧日興証券のIPOビジネスを引っ張ってきた人物で、『日興に田中あり』とまで言われた人です」(日興証券OB)と、IPO分野で極めて高い評価を受けている。
東京三菱証券−−というよりもそのバックに控える東京三菱銀行は、平成10年8月に旧日興証券が米シティバンク・グループとの間で全面業務提携を結んだことを奇貨として、田中氏の引き抜きを画策し、これを成功させたのである。
田中氏が東京三菱証券に入社したのは11年4月で、12年6月には早くも取締役(公開引受部担当)に昇格している。
「三菱証券においては、田中取締役には常務取締役を務めていただくことになっている」(東京三菱銀行幹部)
この人事処遇上の一件をもってしても、東京三菱銀行サイドがどの程度田中氏を評価し、期待しているかがわかるであろう。
「田中氏の退社によって旧日興証券のIPO部門は、まさに壊滅的な打撃を受けたと言っていいだろう。一方、東京三菱証券は、田中氏をヘッドハンティングすることで、旧日興証券が持つIPO分野のノウハウの全てを奪取することに成功したと見るべきだ。それから三年の時を経て、東京三菱証券のIPO部門は、かつての日興証券並の水準に達しつつあるようだ」(日興証券OB)
その東京三菱証券は、リテール分野においては大手証券なみの強みを持つ国際証券と合併し、三菱証券として再スタートを切ることになる。
「そうした意味で、三菱証券は、証券ビジネスの川上から川下までフルラインナップで強力な態勢を敷くことになった。そこに“大三菱”の看板まで加わったのだから、かつて盟友関係にあった日興証券グループなど、もはや眼中にはない。野村、大和に三菱を加えた“新3社体制”こそが我々の目標だ」(東京三菱銀行の役員)。