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柳沢大臣に課せられた宿題が「決済性の預金の全面保護を実現するか」であるとするならそこには明確な“裏”がある。小泉首相の腹には、決済性の預金の全面保護を内閣改造後に打ち出せば、金融行政に精通し数々の難局を乗りきって来た柳沢大臣であればともかく、新大臣では野党の追及を受け秋の臨時国会を乗りきれないと踏んだのだ。そうであれば、柳沢大臣にすべてを背負い込んでもらい、ペイオフを事実上延期するのが賢明だと考えても不思議はない。そして最終的には、経済回復に無くてはならない「金融の安定化」を果たす事ができなかったと責任を取ってもらい更迭する・・・これがシナリオである。柳沢大臣は、晩節を汚さないよう細心を払ってきたつもりが、官邸や財務省に足元を救われる結果になろうとしている。
●「もう一度再任」?〜柳沢大臣
柳沢大臣は、ここに来てこのまま惨めな姿を曝すのであれば、もう一度再任してもらい再起を賭けたいという姿勢すら見せているという。さらに、今回の決定には、財務省の圧力が色濃く影を落としている。財務省は、与党から日ごとに強まる財政出動論を何としても消したいという思いにかられていた。そのためには、対にして語られていたペイオフの延期論を何とか柳沢大臣、金融庁に受け入れさせ、小泉首相を説得する必要に迫られていたのだ。
●「恨み」〜長官人事をひっくり返された財務省
財務省は事務次官以下、密かに金融庁の幹部に会って回った、と伝えられる。そこには“恫喝まがい”のようなやりとりがあった、とも聞く。最終的には財務相を目指す柳沢大臣にとっては、財務省をここで敵に回したくないという事情もあった。また、財務省サイドは、官邸に1兆円の減税案を手土産に粘り強く説得を続けた。その結果が今回の妥協の産物である。財務省は金融庁に対して「あんたらは財務省の出先」、「一人では何もできない万年二流官庁だ」という事実を改めて突き付けたのだ。この裏には、先の長官人事をひっくり返されメンツを失った財務省の恨みがあるという見方さえある。
●「政治の玩具」〜日本の金融はどこにいくのか
いずれにせよ、ペイオフの「事実上延期」の決定は、金融の健全化を遅らせ、引いては、日本経済の回復をも遅らせる愚行である事だけは間違い無い。政治家と役所のメンツ、保身に翻弄され、金融がまた政治のおもちゃにされている事を国民は直視し、せめてその愚かさを正面から見つめるべきであろう。
(東山 恵)
・「金融再生最前線」〜小泉首相が“ペイオフ実質延期”で狙うもの<上>
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200208/07/20020807095520_25.shtml
・「金融再生最前線」〜“ペイオフ完全解禁”先送りは確実?<上>
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200207/23/20020723155515_46.shtml
・「金融再生最前線」〜“ペイオフ完全解禁”は先送りは確実?<下>
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200207/24/20020724100010_79.shtml
・規制緩和に公的資金導入も?〜金融庁、地方金融再編にウルトラC
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200207/09/20020709182008_44.shtml