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日経平均大引け・急反発.株「構造改革路線の転換」を評価?・「世界の下請け・倉庫と化した日本企業」   投稿者 Ddog 日時 2002 年 8 月 07 日 15:18:37:

◇日経平均大引け・急反発――米国株相場の先行き懸念後退で

【NQN】7日の東京株式市場で日経平均株価は6営業日ぶりに反発し
、大幅高で取引を終えた。終値は前日比333円38銭(3.51%)高の9834
円40銭。東証1部の値上がり銘柄数は1000を超えた。米国株相場の先行
きや外国人投資家の売りなどに対する警戒感がやや後退したとして、株
価指数先物を中心に買い戻し圧力が強まった。一時、1ドル=121円台
まで下落した円相場も買い安心感につながった。大引けにかけては証券
会社の自己売買部門による持ち高整理の売りでやや伸び悩んだ。東証1
部の売買代金は概算6314億円(速報)。

株「構造改革路線の転換」を評価?――上昇は一時的の声も
7日前場の日経平均株価は急反発。6日の米国株高や1ドル
=121円台前半まで下落した円安を好感し、ハイテク株中心に積極的な
押し目買いが入った。とは言え、東証1部売買代金は2000億円台にとど
まり、投資家の多くがまだ疑心暗鬼でいることも確かだ。バブル経済崩
壊後の安値更新といった「がけっ縁」から多少戻したところで、すぐに
買い出動とはいかないのが現実のようだ。
 こうした中、市場では微妙な市場環境の変化を指摘する声も挙がって
きた。東海東京調査センターの中井裕幸投資調査部長は「株安を受けた
小泉純一郎首相の政策転換が、相場に短期的な上昇をもたらす」と話す
。小泉政権は、ペイオフ全面解禁の見直し、新規国債発行の30兆円枠の
弾力化、1兆円を超す先行減税など、立て続けにこれまでの構造改革路
線を軌道修正した。塩川正十郎財務相は「方針転換ではない」と語気を
荒らげるが、景気悪化リスクが台頭し、せっぱ詰まっての方針転換は明
らかと言える。こうした政府の姿勢は、決算期末を控えて空売り規制の
強化といった窮余策に走った2月から3月にかけての状況がダブって見
えてくる。市場が短期的ではあっても、これを好感する可能性は否定で
きないという。
 景気対策と併せて、株価対策を目的に金融庁が打ち出した金融市場改
革案。証券会社の自己売買部門でも信用売りが抑制される可能性がある
ため、市場関係者の間では評判が芳しくないが、「9月中間決算を前に
株主名簿から名義が漏れることを嫌って、活発に信用売りを利用してき
た機関投資家に対する売り抑制効果がある」(中井氏)との見方もある
。需給面でも短期的な株価押し上げ材料が出現したという訳だ。
 もっとも、信用売り規制が証券ディーラーにまで適用された場合、流
動性の阻害など市場への悪影響は計り知れない。売り買いを同時に組み
合わせて値ざや稼ぎを狙うヘッジファンドにとっても、売りができなけ
れば買いもできず、日本市場を見限る可能性さえある。一連の景気対策
や株価対策も「株価が上昇して一息つけば雲散霧消しかねない」という
懸念が早くももれてくる。小手先の対策では無く、中長期的な市場活性
化策を望む市場の声が政府に届くだろうか。(永井洋一)

「世界の下請け・倉庫と化した日本企業」・国際証券・水野氏

【景況判断】現状(3ヵ月前比):やや良い 先行き(3ヵ月後):やや悪い
GDP予測:2002年度▲0.3% 2003年度▲0.5%(実質GDP成長率、前年比%)
【金 利】短期:横這い TIBOR3ヵ月 0.08%
長期:低下 10年物新発国債 1.15%
【円 相 場】緩やかなドル安の進行 110円/1ドル
【株 価】株安 日経平均 9,000円
*長短金利、円相場、株価は3ヵ月後(11月末)の予測値

1.景気見通し:「世界の下請け・倉庫と化した日本企業」
円高の進行で日本企業の業績は急速に悪化してくる可能性が高い。6月の日銀短観によ
れば、大企業・製造業の2002年度事業計画は為替レートを125円に想定し、34%増益を見込
んでいる。ところが、財務省の「法人企業統計季報」でコストを国内と海外販売向けに分
けることで、今年度減益に転じる為替レートを計算すると1ドル=111円となる(輸出数量
減を加味)。今年度は、4-6月に計画以上に輸出が伸びたため、年度を通じて減益にはな
らないであろうが、一桁増益に止まる可能性が高い。
問題は2003年度の企業収益である。米国経済が長期に低迷する可能性が高まってきた
ため(3.注目点参照)、輸出主導で景気が回復していた日本経済は大きな打撃を受けるこ
とになる。4-6月期の日本の輸出は前期比8%増と、72年7-9月以来の高い伸びとなった。1
-3月の日本の実質成長率1.4%増(前期比)も外需に支えられ、民間内需の寄与はわずか0.4
ポイントであった。生産の回復は輸出次第であるから、日本の景気回復は1年以内で終わ
って、戦後もっとも短命になる可能性が高い。2003年度の企業業績は減益に転ずる可能
性が高い。
 米国が2〜3年低迷するとなれば、日本経済も同じ期間不況が続く。2001年以降、所定
内給与の削減で変動費化が始まったものの、この10年間日本企業は人件費の変動費化へ
の対応が遅れている上に、POSシステムやサプライチェーン・マネジメントの導入にもか
かわらず、日本全体として在庫管理に失敗している。製品在庫率指数(在庫残高/出荷)が
80年代に比べて上方シフトしているからである。しかも、90年代になるとそれまでとは
逆に、不況のたびごとにピーク水準が上がっている。適正在庫水準が80年代と比較して1
割強上がったことで、利益率が下方シフトした。グローバルサイズ化して世界のシェア
を握る欧米企業は、在庫率を低下させ、日本企業を倉庫代わりに使い始めたのである。
その結果、4-6月期の在庫残高は対前年同期比、対前期比のどちらでみても過去最高か過
去二番目に減少したものの、別に適正在庫水準を下回ったわけではない。過剰な在庫を
ようやく減らしただけであるから、今後の景気の持続性は最終需要にかかっている。

2.金融環境:「21世紀の『デフレ革命』を織り込む20世紀末の利子率革命」
「デフレは実質金利を高止まりさせ、経済活動を抑制させる」といわれる。しかし、企
業経営者の期待インフレ率(期待デフレ率)は、現実の消費者物価が99年度に下落に転じ
たあたりから、マイナスになっているのではない。日銀短観の価格判断DIから統計的手
法によって期待インフレ率を計測すると、製造業、小売業の経営者は92年から物価が下
落すると予想しているのである。
経営者は90年代の前半からすでに物価下落を前提に事業計画を立てていることになる
。従って、期待実質金利が99年度からデフレに陥ったことで急に高くなったのではない
。だとすれば、デフレが原因で経済が停滞していることにはならない。デフレは世界的
なグローバル化の結果として生じている現象である。デフレから脱却できるのは、日本
経済がグローバル化への対応のメドが付いた時である。
98年4月の日本の5年国債利回りは1619年のイタリア・ジェノバの史上最低利回り1.125%
を下回って以来、4年にわたって過去最低を更新中である(8月2日、0.4%)。15世紀末から
1619年まで続いた16世紀の利子率革命が、20世紀末の日本で再現し、今後超低金利が世
界に広がっていくことが予想される。16世紀末の利子率革命は16世紀の「価格革命」の終
焉を予想し、次の17世紀の『デフレの時代』を予見したのである。

3.注目点:「米国経済は長期低迷へ」
米株価急落で株式本位制に依存した米国経済は長期の不況に陥る。強いドルと株高が「
米国=世界の投資銀行」の経営基盤であった。2000年9月のインテルショック以来、7月末
時点で米株価の下落率(3ヵ月前比)は18%と、テロ事件後の16%を上回って最大である。株
価の増減に米個人消費は連動するから、7-9月期の米GDP成長率は再びマイナスに転ずる
ことが予想される。
 テロ事件後のような景気押し上げ要因(利下げと国防支出増、そして愛国心に支えられ
た一致団結)は、今回は期待できない。そうであれば、今後米株バブル崩壊による実態悪
が表面化する。7月の半ば以降、マーケットの事前予想の下限を下回って経済指標が発表
されるようになった。95年以降の「ニューエコノミー」を評価した米株高のうち98年以降
に生じた過剰流動性相場の水準訂正がほぼ完了しつつある。現にNYダウは7月24日に一時
7,532ドルと、98年大手ヘッジファンドLTCM破綻直後につけた7,539ドルを下回った。
今後、ドル急落を招くと、外国の貯蓄を自由に利用できるシステムが崩壊しかねない
。そうなれば、ニューエコノミー自体が危うくなり、NYダウが4,000ドルから上昇したニ
ューエコノミー相場が崩壊の危機に直面する。米国の生産性が上昇したのも、外国の貯
蓄の存在があったからである。成長率を抑制して4-6月期5,000億ドル強に膨れ上がった
米経常収支赤字を3,000億ドル以下にしなければ、ドルのソフトランディングは困難であ
る。6.8兆ドルに達した米株式時価総額の消失が、少なくとも3年かけて実態経済の改善
を迫ることになる。

<水野和夫氏略歴>
1953年生。77年早稲田大学政経学部卒、80年同大学院経済学研究科修士課程修了。八千
代証券(現国際証券)入社。マクロ経済の調査・分析を担当、98年金融市場調査部長、2000
年4月から現職。主な著書「所得バブル崩壊」(ビジネス社、2002年4月)など。東洋経済「統
計月報『エコノミスト・コンセンサス』」、などのコメンテータ。エコノミスト人気調査
ランキング11位(2002年3月25日付日経金融新聞)。

以上 8/7クイックより転載

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