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与党幹部がペイオフの延期に向け議員立法を計画し、秋の臨時国会に提出する動きをみせていることはすでに書いたが、その際、同法案は与党に加えて民主党などの賛成を得て結果的に通過することが確実とみられる、とも記した。小泉首相は、この動きの機先を制するように決済性の預金を全額保護するという形で、「事実上のペイオフ延期」を打ち出した。それも「ペイオフは解禁する」という大前提は形式上崩さないといった、まさに妥協の産物のような恰好で。金融行政と政治、そしてペイオフの実質延期―今、そこで何が行われ、何が進んでいるのか。
●「4つの思惑」〜メンツ確保への焦燥感
小泉首相が、突然の方針転換と受け取られかねないリスクを取っても、ペイオフの事実上延期を指示した心の内には、次の4点があろう。
(1)秋の臨時国会で議員立法の法案が通過すればメンツが潰れる
(2)臨時国会には、個人情報保護法案や有事関連法案など小泉首相がこだわり続けている重要法案が目白押し、ペイオフ問題で国会を混乱させたくない
(3)内閣改造を控え、このままでは自民党だけでなく保守党や公明党などとの対立色が鮮明になり権力基盤が揺らぎかねない
(4)ペイオフは構造改革の一環だとして押し切れば、国民の不安を煽り上昇しかけた支持率を失いかねない。
このうち(1)については先にも述べているので詳述は避けるが、通過が確実視されている中では、小泉首相も自らのメンツをいかに保つかに神経を尖らせている。そして、他の3点には、政治とカネを巡るスキャンダルにまみれた通常国会で積み残された重要法案を成立させ、自らの改革がいかに進んでいるかを打ち出したいという焦燥感がにじみ出ている。
●「保身と圧力」〜屈するしかなかった?
もう一方の柳沢金融担当相は、どうか。それは、首相の保身と財務省の圧力に屈したと言える。来月に予定されている内閣改造で、柳沢大臣は再任されないと見られている。小泉首相は、今回の内閣改造で再任しない閣僚、例えば文科相や総務相などに対して夏休み返上で抱える難題を解決せよと命じている。柳沢大臣への宿題は、この決済性の預金の全面保護をいかに実現するかという事になる。
(東山 恵)
・「金融再生最前線」〜“ペイオフ完全解禁”先送りは確実?<上>
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200207/23/20020723155515_46.shtml
・「金融再生最前線」〜“ペイオフ完全解禁”は先送りは確実?<下>
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200207/24/20020724100010_79.shtml
・規制緩和に公的資金導入も?〜金融庁、地方金融再編にウルトラC
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200207/09/20020709182008_44.shtml
・金融庁「金融システム安定化追加施策」全容が明らかに〜地銀再編促進や融資厳格化
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200204/11/20020411115008_73.shtml