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「金融庁が言う“新型預金”が、具体的にどのような体裁をとるのか段階的でまったく見えてこないが、一連の報道から判断する限り、われわれ大手行にとっては不必要な種類の預金、ということになるだろう」
大手都銀の経営中枢幹部がこう断言してみせる。
そしてこう続ける。
「誤解を恐れずに言うならば、ペイオフ解禁を控え、われわれ大手銀行は、預金が集まりすぎて困る、という状況にある。しかも、安定性に欠く普通預金などの流通性預金が集中豪雨的に集まってきているのが実情だ。こうした状況下で、さらに流動性預金の一形態でしかない“新型預金”なるものが果たして本当に必要かどうか、はなはだ疑問というのが率直な感想だ−」
別の大手都銀役員が言う。
「仮に“新型預金”なるものが、金融庁の主導で導入されたとしても、当行がそれを扱うかどうか、まったくの白紙。正直言って扱いたくない−」
来年4月1日に予定される“ペイオフ完全解禁”とツインパッケージの形で導入されることが確実視される“新型預金”であるが、当の銀行業界からの評判が前述したように極めて悪い。まさに悪評紛々といった体なのである。
当コラムでもこれまでも何度となく取り上げてきたが、去る7月30日小泉純一郎首相は、柳沢伯夫金融担当相を官邸に呼び、ペイオフ全面解禁に伴って発生することが予想される決済システムの混乱を回避するために、必要な措置を講じるように指示を出したのである。
そして、この“指示”を受ける形で浮上してきたのが、当座預金の全額保護と、普通預金口座に預け入れられた決済資金の全額保護、という構想だ。
「そこで問題となっているのは、“普通預金口座上の決済資金の全額保護”という部分なのです。現実問題として、普通預金口座に預け入れられている資金を全額保護する部分とペイオフ適用部分に区分することは事実上不可能です。そうしたことから、いわゆる“新型預金”の創設という案が浮上してきたのです」(金融庁幹部)
そして、この“新型預金”については、無利子扱いとする一方で、その保護原資を預金保険料からまかない、公的資金の投入については回避する、といった方向で検討が続けられている最中だ。
前述の大手都銀経営中枢幹部が言う。
「仮に“新型預金”の導入が決定された場合には、新たなコンピューターシステムの構築が必要不可欠となる。こうしたシステム構築には、通常約6カ月程度の期間を要するのが一般的だ。しかもシステム構築後、最低でも1−2カ月のテスト期間が必要となる。そうした状況から考えて、来年4月1日に“新型預金”を立ち上げるためには、今月中にその詳細が固まっていなければ、対応は厳しい」
とはいえ、いくら対応を急いだとしても今月中−つまり、8月中に“新型預金”の商品内容を詰めることは不可能、というのが関係者の一致した見方である。
「拙速にコトを進めれば、みずほグループで発生したような大規模なシステムトラブルが起きることは必至。しかも新たなシステム構築を必要とするのは、まさにトラブル発生を絶対に避けなければならない決済専用口座であるだけにコトは深刻だ。はっきり言って、仮に今から作業を立ち上げたとしても、来年4月1日に間に合わせるだけの自信はない−」(大手都銀役員)
金融庁は、こうした“声”をどのように受け止めるのであろうか。