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【ワシントン竹川正記】
国際通貨基金(IMF)は5日、対米審査報告を発表し、米経済の現状について「企業の不正会計問題などを主因とした最近の株安や企業の業績・設備投資の回復の遅れで景気の下振れリスクが高まっている」と、景気の先行きに警戒感を示した。さらに、株安の影響で消費者や企業の心理が一段と冷え込んだり、金融市場で信用収縮の動きが出た場合には「(米景気下支えのための)更なる金融緩和の余地がある」と指摘。米連邦準備制度理事会(FRB)に対し、米景気の腰折れ懸念が予想される時には、追加利下げを断行するよう求めた。
IMFの対米審査報告は6月下旬に米財務省が原案の要約を公表。この中で、米経済が昨年9月の同時多発テロのショックを克服し、「力強い回復を見せている」などと基本的には楽観的な見通しを強調。FRBに対しても、経済が確実な回復軌道に乗ったことが見通せるまで、40年ぶりの低水準にある現行金融政策の継続を促していた。
しかし、5日に公表した最終報告では、破たんした米長距離通信、ワールドコムの巨額粉飾決算事件に端を発した最近の株安や、4〜6月期の米企業決算で示された企業業績回復の遅れを考慮。特に株安が企業・消費者心理の悪化を通じて実態経済に悪影響を及ぼすことに強い警戒感を示し、国内総生産(GDP)の実質成長率見通しについても下方修正の可能性があることを示唆した。
一方、IMFは財政赤字や経常赤字の急増にも強い懸念を表明。特に、米政府の財政収支均衡見通しについては「楽観的過ぎる」と批判し、国際金融市場の混乱要因となる米国からの資本流出懸念を払しょくするよう、財政規律の維持を強く要求している。