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☆米国株サマリー・ナスダック安値 景気懸念で底入れ感途切れる
NAA 6570 : 2002/08/06 火曜日 07:12
【NQNニューヨーク=遠藤大義】5日の米国株相場は続落。ナスダック総合
指数は1997年4月以来の安値水準となった。ダウ工業株30種平均は7月
23日以来の水準に逆戻り。同月24日以降の急反発による底入れ感は途切
れた。前週半ば以降、相次いで発表された経済指標で景気が市場期待よ
りも弱かったことが明らかになったためだ。
5日の売り材料は供給管理協会(ISM、旧全米購買部協会=NAP
M)の非製造業景気指数。「53.1%と景況感の分かれ目の50%を上回っ
たが、前月比4.1ポイント低下し先行き不透明感が強まった」(ファーン・
ストックのシニア・マーケット・ストラテジスト、アラン・アッカーマ
ン氏)。中東情勢の緊張も水を差し、「売り方が目立ったのに対して投
資家は少なく、売買高は盛り上がりを欠いた」(アッカーマン氏)。
投資信託の解約に伴う換金売りで売買高を伴って下げた7月24日まで
と、今回は異なるようだ。調査会社のトリムタブスの推計によると、7
月26日―8月1日に米国株投信は4億ドルの資金流入に転じた。7月12
―18日が156億ドル流出、同月19―25日は198億ドル流出だったが、ひとま
ず売り圧力は緩和された。「売買高を伴わずに水準を切り下げる悪い形
」(米国株トレーダー)との声がある。
景気シナリオが狂い、企業収益予想の再考を迫られた投資家が買いを
見送っている可能性が高い。収益が下方修正されればテクノロジーセク
ターを中心にPER(株価収益率)からみて割安感が出てこない。フィ
ラデルフィア証券取引所の半導体株指数(SOX)が52週安値を更新。
6日夕の決算発表を前にシスコシステムズは収益見通しの不安感から下
げた。
前週のドレスナー・クラインオート・ワッサースタインやゴールドマ
ン・サックスに次いで5日はドイツ銀行が利下げを予想。株安が続けば
13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%幅の利下げを見込
む。「景気の下押しを防ぐため利下げが必要」(ファレル・インベスト
メント・マネジメントのマネジングディレクター、ジェームズ・ファレ
ル氏)との声が増えているが、「利下げすれば米連邦準備理事会(FR
B)が景気悪化を確認したと受け止められる」(ファレル氏)ため、相
場の反応は見極めづらい。
◇米国株続落 弱い米経済指標と中東情勢緊張が響く・ファレル氏
NAA 6576 : 2002/08/06 火曜日 07:26
【NQNニューヨーク=遠藤大義】ファレル・インベストメント・マネジメン
トのマネジングディレクター、ジェームズ・ファレル氏 前週後半以降
の米国株式相場の下落は景気が市場予想より弱いことが明らかになった
ことが主因だ。実質国内総生産(GDP)の伸び率が2001年は3・四半
期もマイナス成長に下方修正されたことや、供給管理協会(ISM、旧
全米購買部協会=NAPM)の景気指数などが響いた。中東情勢の緊張
も投資家心理の悪化に拍車をかけている。市場予想を上回る決算がいく
つか出ているものの、景気悪化が先行きの警戒感を誘っている。
米国債利回りが低下するなど市場で利下げ観測が強まっている。もし
米連邦準備理事会(FRB)が利下げすれば、景気が悪化していること
をFRBが確認したことと受け止められるだろう。その一方で、流動性
供給が景気刺激につながることが期待できる。株式相場の反応は見極め
にくいが、なにより景気の下押しを防ぐために利下げが必要だと思って
いる。
<東短リサーチ>橘田リポート(1)最近の米経済の波乱は株安による悪影響…
NAA 6582 : 2002/08/06 火曜日 07:30
内外政治経済・短期金融市場の動向 橘田週間リポート 8月5日号
●最近の米経済の波乱は株安による悪影響を反映したもので、世界経済のデフレ化突入
を示すものだ。先行きの米経済は「ひょっとするとひょっとする」危険を含んでいる●
「どうも米国の経済動向はおかしい。ひょっとするとひょっとするかな」という感じ
が投資家の間に広がり始めてきたようだ。特に先週後半の米株式市場の下落は、今年後
半から来年にかけて世界的な大不況の訪れを予感させるものであったようである。NY
ダウ平均株価は、先週末には7月29日の急騰をほぼ帳消しにする下落幅となった。米市
場では、株安による消費者や企業の景況感悪化がようやく数字にも表れてきたとの見方
が強まってきた。これまで米株式市場では、企業会計への不信感から株安が続いた反面
、景気自体は比較的底堅く推移していくとの見方が多かったことで、政府は企業の会計
不祥事を撲滅する対応策を国策の第一柱として推進してきた。ところが、7月31日に「
今年4〜6月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は、1〜3月期に比べ個人消費の
鈍化と貿易赤字の拡大を主因に年率換算1.1 %増と大きく減少した」と報道されたこと
で、米景気の先行きに対する投資家の見方は様相が一変し、不安感が強まった。その後
さらに景気の弱含みを示す経済指標が相次いだことから、米国市場では株安・債券高・
ドル安が進み、景気に対する弱気の見方が急拡大した。特に先行き懸念が広がる切っ掛
けとなったのは、今まで景気を下支えしてきた個人消費に対する不安が強まったことで
ある。4〜6月期のGDPを需要項目別にみると、全体の約7割を占める個人消費が1
〜3月期の3.1 %増に比べて前期比1.9 %増にとどまり、息切れの兆候がでてきた。ま
たFRBが発表した地区連銀経済報告でも、個人消費についてはいくつかの地域で「株
価下落が実体経済に悪影響をもたらす可能性がある」として、株価下落と個人消費との
因果関係を説明するなど、慎重な景気判断を示している。さらに米調査会社コンファレ
ンスボードがまとめた7月の消費者信頼感指数は前月より9.2 ポイントも低下しており
、株安やテロ再発懸念などを背景に消費者心理が急速に冷えていることが確認された。
7月の雇用統計では、失業率は6月と同じ5.9 %で変わらなかったものの、市場の関心
が強い非農業部門の雇用者数は前月比6,000 人増にとどまり前月の6万6,000 人増を大
きく下回ったことが、雇用改善の遅れと受け止められた。雇用改善の遅れは、先行き個
人消費の減退となって跳ね返ってくるとの見方が強まった。6月の米個人消費は0.5 %
増と2ヵ月ぶりに増加したものの、7月の動きについては株安が一段と加速した影響が
表れてくるため再び減少に転じてくるとの見方が強くなった。また、企業関連の指標で
は、米供給管理協会(ISM)がまとめた7月の景気指数が、好不況の分かれ目とされ
る50%をかろうじて超える水準にまで低下してしまった。こうした数字からも、個人消
費は息切れし、設備投資の回復も遅れて景気が腰折れしかねないとの懸念が強まってい
る。
米国経済は、昨年10〜12月期以来3・四半期連続のプラス成長となった。しかし、景
気の基調は強くない。個人消費や設備投資などの最終需要は、昨年10〜12月期の伸び率
は4.3 %であったが、今年1〜3月期3.0 %、4〜6月期には1.6 %の伸びと鈍ってき
ている。この伸びが落ちた要因となっているのは、90年代後半の株バブルの陰で膨らん
だ経済構造の膨張である。現状はバブル崩壊によるその調整が、まず企業部門で進行中
であると言える。投資家の懸念は企業の過剰債務に集中し、粉飾決算をきっかけに投資
家は社債の購入に慎重になってきている。企業は資産と債務の圧縮を迫られ、日本と同
じようにバランスシート調整が始まって、設備投資は盛り上がりにくい状況となってき
た。家計部門はどうかとみると、株安で株式投資信託の4〜6月期の運用収益率はマイ
ナス12%に悪化して、逆資産効果の懸念が広がっている。この逆資産効果を、住宅価格
の上昇が相殺している状況である。住宅ローン銀行協会による7月の週間での申し込み
状況を示す指数は、ほぼ前の週を20%上回る高い状況にあり、住宅市場へのマネー流入
は一段と膨らんでいる。市場では、住宅ブームは過熱気味との見方も生まれている。こ
こでもしも調整が始まれば、家計の借金が増えるだけに景気腰折れ懸念が台頭して、90
年代初めを上回る大調整に事態は発展しかねない深刻さを秘めていると言えよう。
米国では、実質金利はすでにゼロ%と歴史的低水準にあり、財政は再び赤字に戻った
。以前当橘田レポートでは「世界経済はデフレ時代に突入し、米国は消費大国主義から
貯蓄大国主義へと、第2次大戦後の経済構造を転換させる動きへの変化が始まった」と
申し上げたことがあるが、最近の米経済の構造変化は、まさしくこうした動きへと転換
しだしたことを示すものである。米経済のデフレ対応策は政策余地が限られるものとな
るので、経済の先行きにはリスクが膨らむ可能性は強い。米経済に「おんぶに抱っこ」
の世界経済は不安定さを増してくることになろう。先週の米株式市場では以下のような
見方をする投資家が多くなってきた。それは「4〜6月期の個人消費の伸びが鈍ったの
は確かであるが、株安による逆資産効果が現実のものになったと判断できるかどうかに
はもう少し時間が必要である。ということになると、株安の実体経済への悪影響が顕在
化するのは7〜9月期になる。現段階で米株安・ドル安に歯止めがかかれば、経済への
影響は限定的なものとなってそれほど深刻にはならないが、もし9月以降も株安・ドル
安を引き摺っていくようだと世界経済は不安定さを増して不況に突入する可能性は強い
であろう」との株安による実体経済への悪影響を懸念する声が異常とも思えるほど高ま
ってきている。
=(2)に続く<東短リサーチ>橘田リポート(2)米経済は再び景気後退に突入の可能性…
NAA 6583 : 2002/08/06 火曜日 07:30
●米経済は再び景気後退に突入の可能性あり。FF金利の引き下げとイラク戦突入など
が近づいてきている。景気悪化で税収が不足、イラク戦で戦費拡大し国債増発となる。
米政府は「国債買切りオペ」導入に踏み切ろう。日銀の対応は●
NY株式の下落が、今や米国経済を脅かしている。米国民は2年前に比べてはるかに
小さくなった資産を前にして、支出を減らし始めている。2000年当時の米国の貯蓄率は
、投資家が株式の運用に重点を置いたことから実質ゼロの状態が続いていたが、今年に
入ってからは可処分所得の3%程度まで上昇してきている。米商務省が発表した6月の
個人消費統計によると、貯蓄率は可処分所得が0.7 %増となったことを反映して前月比0
.1 %上昇して4.2 %となり、米同時テロが発生した昨年9月以来の高水準となった。米
景気の先行きに不透明感が強まったことを背景に、株式を売ってその資金を国債とか預
金にシフトしたことが影響したとみられている。まだ、貯蓄率は長期平均値を下回って
いる。このまま長期平均値まで上昇していくとすれば、今後米国の消費はさらに低迷し
ていくことが考えられる。
現在、米国は東西冷戦も終結して、米国と主義主張が異なっていたロシア、中国は資
本主義経済路線に仲間入りしたことで、共産主義から米国の同盟国を守るための「消費
大国主義」を採る必要性はなくなってきた。現状の敵はテロ組織集団国家だけである。
米国が消費大国主義を放棄したことは、デフレ時代の到来を意味するといえる。米国で
は現状個人資産の約6割が株式を中心とした運用になっていると言われるが、このとこ
ろの急激な株安で、投資家は株式本位制の崩壊を悟って、株式を売り国債とか預金への
シフトを強めている。現在すさまじい勢いで預金シフトが進んでいる。まさに米国の「
貯蓄大国主義」経済への変身である。現在の株式急落は、株式本位制構造経済から脱却
のための調整期間であると言えよう。現状の株安経済のもとで米国景気が拡大するため
には、投資ブームが発生するような経済政策を政府がとるとか、貿易収支を改善する政
策を打ち出すとか、財政赤字を急増させていく政策をとるなどの政策が実行されていく
しか方法はない。しかし、いずれも実現は不可能のようなことばかりである。米国にと
って最善の政策は、追加減税の実施が一番近い政策である。減税をすれば可処分所得は
増えるので、消費を切り詰めなくても貯蓄率は上昇を続けていくからである。2000年の
大統領・議会選挙後に、共和党政権は直ちに減税を実施し、景気に非常に良い影響を与
えた。しかし、現政権下での減税は、恩恵が低所得層よりも高所得層に偏ってしまった
。共和党の減税策は、リベラル派の多い民主党員の感情を逆なでしてしまった内容だっ
たため、上院で与野党議席逆転の状況下での追加減税の合意は難しくなっている。その
ため、共和党は11月の中間選挙で上院の逆転を解消したいところであるが、とても現在
の経済状況下では無理である。
クリントン政権時代のFRBは、株式相場が96年の時点ですでに、バブル化してきた
ことを認識していたのに、株価上昇抑制策を打ち出さなかった。あの時唯一採用された
対策らしきものが、グリーンスパンFRB議長の「根拠なき熱狂」のリスクに関する短
かいコメントであった。株価が暴騰し続けても議長は何の行動も起こさず、最後には「
生産性が向上している」とバブルの許容者になってしまった。明らかにFRB議長の過
ちである。こうした反省が、昨年1年間の金利急低下となった金融大緩和策につながっ
たと言われている。バブル当時の政策的な過ちはFRB議長だけでなく、クリントン政
権時代の財務関係者にも多く、その責任は大きい。しかし、過ちを犯した人達が多くな
った結果、米経済が直面するリスクは過小評価されてしまっている。党派的な政争もか
らんで経済危機への先制的な対抗策としての追加減税は遠のいてしまっている。この結
果、米国経済は再び景気後退に突入していく危険度が非常に高まり始めてきた。景気が
停滞する中で物価は下落するなど、デフレ的要素が高まってきている。企業の過剰債務
は設備投資を減退させ、企業収益は次第に縮小している。米企業収益は、4〜6月期は
前年同期比横ばいで、7〜9月期の増益率は下方修正をする企業が続出している。また
、米製造業の受注に陰りが出始めてきている。株安の影響などで、企業が景気の先行き
に慎重になっているのが陰りの要因である。企業の在庫積み増し中断の動きが強まり始
めてきている。7月31日の4〜6月期GDP大幅低下発表以降も、経済指標の悪化が相
次ぎ発表されたことを受けて、米国の金融市場では景気の先行きに対する弱気の見方が
強まってきている。金融市場の一般的な見方として年は、内の利上げはないとなってお
り、一部には年内にFF金利を0.75%利下げするとの見方もでている。しかし、そこま
ではいかないにしても0.5 %内での利下げは8〜9月中にあるとの見方が多くなってき
ている。
ところで、米政府部内にもこのまま株安が続き景気が減速してくると、世界不況も起
こり得るとの見方が台頭してきているようで、企業収益の悪化は税収の縮小につながり
、財政赤字は一段と拡大するとの懸念を抱く高官が増えてきている。現状国債金利は低
下傾向にあるものの、先行きの国債増発は金利の上昇につながり、景気の本格調整の波
が家計を巻き込む恐れもでてくる。住宅バブルの崩壊にもつながりかねず、米経済の先
行きリスクは膨らんでくることになる。そこで、米政権の内部には、年後半から来年に
かけて「国債の買切りオペ」を実施すべきであるとの意見が急浮上してきている。そこ
までやらないと、米景気減速の歯止めはできないであろうとの見方が強まっている。米
国では、すでに、景気対応策として採れる金融政策の政策余地が限られるなかで、国債
買切りという全く新しい政策をとっていかなければならない構造変化が訪れたとの受け
止め方が急浮上して、米国の金融政策はバブル崩壊によって全く未知の政策対応時代へ
突入していきそうである。もし、米国が国債買切りオペを先行き実施するようなことに
なれば、日本の金融政策にも少なからずの影響を与えることは間違いなく、日銀は国債
買入れ額拡大でバブル崩壊の総仕上げ政策へと足を入れていくことになろう。また、米
国は戦時景気盛りあげを狙って、9月頃までにイラク戦に踏み切る可能性が高まってき
ている。 <東短リサーチ>橘田リポート(3)日本の景気底入れ宣言は不況の中で一瞬…
NAA 6585 : 2002/08/06 火曜日 07:30
●日本の景気底入れ宣言は不況の中で一瞬の清涼剤とはなったが、その付けは重くのし
かかりそうだ。米国が国債買切りオペを導入すれば、日銀も買い入れ額を急拡大してバ
ブル崩壊対応策は最終局面を迎えよう●
日銀が7月の経済金融月報で描いた「日本経済は下期にかけて下げ止まる」という回
復のシナリオは、米国経済が腰折れしないことが前提条件となっている。先週後半の米
株式市場では、株安による逆資産効果が現実になったと判断できる時期は7〜9月期の
景気動向に負うところが大きいとの見方が強まってきた。それは、株安の実体経済への
悪影響が顕在化するのが7〜9月期になるからである。現段階で米国の株安・ドル安に
歯止めがかかれば米経済への影響は限定的になるが、もし9月以降も株・ドル安が続い
ていけば海外の投資資金にとって米国の魅力は大きく低下し、市場の波乱は長期化する
可能性が強い。そうなれば、日銀が描いている日本経済は下期にかけて下げ止まるとい
うシナリオは完全に崩れることになる。
先般6月の鉱工業生産動向が発表されたが、それによると生産指数は前月比0.7 %低
下し、1月以来5ヵ月ぶりのマイナスとなった。また6月の輸出数量は前月比4.4 %減
となった。輸出は昨年12月を底に5ヵ月間で約24%増え、6月は伸びが一服した。鉱工
業生産も輸出にほぼ連動しており、昨年11月から本年5月までの間に7%増加した後、6
月は前月比0.7 %の減少となった。企業の設備投資が低迷するなかで、国内生産も輸出
の動きにほぼ連動している。自動車生産は1〜5月で12.4%増えたが、6月は前月比7.1
%減少に転じている。IC生産も1〜5月で31.6%増加したが、6月には5.5 %のマイ
ナスとなった。このように、輸出を牽引役にした国内の生産回復の動きにも変調の兆し
がでてきている。6月の輸出と生産のマイナスは、政府でいうように前月までの反動減
なのか、それとも増加傾向に変化が起こり始めたのか、7月以降の鉱工業生産動向の動
きで解明されるが、そのカギを握るのが自動車や電子部品の輸出の持続力である。最大
の焦点は米経済の動向である。7月の株安が6月より拡大したために、米企業には景気
の先行きに慎重になるところが多くなり、製造業の受注に陰りがでて生産が減速する懸
念が強まってきた。7月には在庫復元の動きを中断する企業が多くなってきている。米
国の株安が個人消費の停滞につながれば、米国市場での自動車販売が急減する恐れがあ
る。アジアを経由した米国向けのパソコン関連輸出も打撃を受けることは必至である。
電子部品の米国への輸出も、そのほとんどが武器関連のIT機器の輸出で民需用ではな
い。米国はイラク戦を想定してIT機器の在庫積み増しに動いているわけで、いつ輸入
がストップするかわからない状況である。中国への輸出増大は、米国での在庫積み増し
が拡大したことによるものであって、株安によって米国景気が後退すれば縮小していく
運命にある。このように考えてみると、日本経済の底入れは輸出頼みの国内生産回復と
いう極めて脆弱な基盤の上に立っている。米国では、すでに株安による影響が企業の在
庫積み増しの慎重な姿勢となって表れ始めており、景気の先行きに対する弱気が台頭し
てきている。外需の勢いが途切れれば、設備投資や消費の持ち直しによる自律的な回復
はとても望めなくなるばかりではなく、景気全体の失速懸念も浮上してくることは間違
いない。
米国株式が急落する中で、「不景気」風を吹き飛ばすかのような政府の景気底入れ宣
言の発表で、国民は一瞬の清涼感を味わった。しかし、その付けはどうやら何十倍も重
しとなって跳ね返ってきそうである。竹中経済担当相の「現在の景気が良くなったから
景気は底入れした」と言う発言はおかしいと指摘したが、日本の株式もバブル後の最安
値を意識する水準へと低下し、6月の鉱工業生産も外需景気の先行きに不安を示す内容
となった。小泉首相は、日本の景気が先行き悪化していくことはすでに「承知之助」と
いわんばかりに、最近次から次へと景気に配慮した政策を打ち出している。その対応策
の内容は次の様なものである。その目玉となるのが、1兆円の先行減税の検討指示、ペ
イオフ全面解禁の見直しである。減税については時々刻々と変わるというのが今までの
政府の動きであるので期待はできないが、ペイオフ解禁は結局普通預金は当面現状のま
ま据置きということになろう。また、新紙幣発行で経済効果を狙うなど、最近相次いで
景気に配慮した政策を打ち出している。さらに、9月から導入する計画を固めたといわ
れる株に対する信用取引面での空売り規制も株価対策である。外需景気の先行きに不安
が広がってくれば、景気は一気に奈落の底へと落ち込んで構造改革の構想は一瞬に崩れ
る。その辺は小泉首相は百も承知との見地から、次々と対応策を打っているとのことだ
。NY株式は最悪の場面ではダウ平均株価は6,000 ドル台後半。ナスダック総合指数が1
,000 ポイント台半ば、日本の株式は日経平均株価9,000 円台割れが先行きあり得るとの
見方が強まってきている。さらに株価が下がれば、一段の対策を小泉首相は打ち出すと
の期待が高まり始めている。米国もさらに株式が低下すれば、0.25〜0.50 %の利下げと
国債の買切り策を実施する構えのようで、最終的には低所得者層を重点とした減税を民
主党と協調して打ち出す考えのようである。小泉首相が一連の景気対策に対応する中で
、日銀に対する景気対策も大きな課題となってこよう。米国も日本も、バブル崩壊後の
景気対応策がこの一年間のうちに最終局面を迎えよう。日銀は米国FRBが国債の買切
り策を採用すれば、続いて大量の国債買入れを実施せざるを得ないであろうし、インフ
レ目標論も導入することになろう。それに量的緩和策をさらに拡大させよう。政府・日
銀のバブル崩壊対応策は、米国の国債買切りオペの導入を契機にいよいよ最終的局面を
迎えることになろう。(終)
(東短リサーチ 特別顧問 橘田昭次 記 )
本資料は情報提供を目的としてのみ作成されたものであり、お取引の最終決定は御自
身の判断でなされますよう御願い致します。本資料に記載されている内容は、信頼で
きる情報源に基づき作成されたものですが、弊社はその正確性および確実性を保証す
るものではありません。
*大竹氏の怖い話信じてしまいそうです、Ddog談