現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
「デフレはあと10年続き、平均株価は3000円台まで底を打つ」−。超ショッキングな日本経済予測を語るのは、約1000億円ものカネを世界中で動かす敏腕ファンドマネジャー、大竹愼一氏。NYのウォールストリートを中心に活躍する「カリスマ投資家」で、ITバブル崩壊やハイテク不況、株価1万円割れをいち早く予見し、逆境にあってもプラス圏で運用する。「銀行で残るのは1、2行」「ホワイトカラーの大半は失職する」…。恐るべき予測とデフレ時代の防衛術を激白する。
大竹氏はニューヨーク郊外に暮らし、顧客から集めた投資ファンドマネジャーとして、16年間、トップクオーター(上位4分の1)から落ちたことがないという。
「必ず自分で投資する企業を訪問し、情報を稼ぐ」のがモットーの行動派である。東京やロンドン、ニューヨークの金融機関を経て独立した。
情報収集の目的で日本に戻っている間、相次ぐ企業の不正会計とワールドコム破綻などで米国株が急落、連動して日本の市場も冷え込んだ。
さぞ、落胆してるかと思いきや、「2000年からこうしたIT・ナスダックバブルの崩壊は予測していました」と涼しい顔なのである。
「秋にはもっと下がり、ナスダックは1000を割る。通信はインフラに金がかかり過ぎる一方で、ものすごいスピードの価格競争がある。客が増えても儲からない構造だ。まさにアリ地獄。だから、ぼくはファンドに組み込まなかった」
−−では、日本はどこまで引きずられる?
「秋の下値は8000円は見ておかないと。それでも大底は打たない。10年はデフレが続き、バブル絶頂期の3万9000円の10分の1、つまり4000円割れまでいかないと反転しない」
−−そこまで行かないとドロ沼状態の不良債権のツケは返せないのか
「そう。もっと銀行がつぶれないと、日本の経済はよくならない。米国は早くウミを出し切るから3年で片付くが、日本はそれをしない。既存の銀行で残れるのは1、2行ぐらい。あとは、アイワイバンクや商工ファンド、“トヨタ銀行”といったものを中心に、4つか5つ、新しい形の銀行、金融システムができるとみている」
恐ろしい予測に加えて、追い打ちをかける。
「デフレ不況でサラリーマンという日本の中間層は崩壊する。大企業がつぶれ、デスクワークするホワイトカラーの人間は激減する。バブルで(日本の企業が)バカなことをやった以上、そういう試練は仕方がない」
企業戦士にしわ寄せがくるのは、何ともガマンならないが、生活防衛の手立てはあるのか。
「小泉政権は確かに具体的行動がないが、政府に頼らず、個々人がデフレ環境にあった生活をしなければダメだ」
「たとえば地価。これもバブル時代の10分の1まで下がる。東京近郊の一戸建てが下がっているといっても、まだバブルの3分の1程度。こんな時に借金をして家を買ってはダメ。家計のファンドも外貨に移すなど、分散する必要がある」
平均株価の4000円割れを予測する一方で、「預金より株式の方がよっぽど安心。企業がしっかりしていれば、確実にキャッシュフローを生んでくれる。それをベースに株価は上がりますから」と一見、矛盾するような投資術を指南する。
「日経平均の銘柄(225種)は、昭和30年代のインデックスをちょっと変え、ハイテクを増やしたぐらい。棺おけに片足を突っ込んだような会社が多い。そりゃあ、上がりませんよ」
「がんばっている企業は、まだたくさんある。5000も銘柄があるのだから、具体的に1つ、2つといわれても困るが、社長が独裁で意思決定を行い、すぐ動けるような新しい会社。そして、経理、バランスシートがしっかりしているかが大切で、その選別眼が問われる時代だということだ」
株価下落とは無縁で生きていけない。そんな厳しい時代に突入していることは間違いない。
◇
おおたけ・しんいち 一橋大大学院経済学研究科博士課程修了後、ドイツ・ケルン大学、イギリスLSEに留学。三井銀行金融経済研究所、野村総研、ロンドンのチェース・インヴェスターズ、ニューヨークのAIGグローバル・インヴェスターズなどの社員ファンドマネジャーを経て独立。近著『ハイテクバブルとローテク投資』(フォレスト出版)をはじめ、独自のバリュー投資指南書がカリスマ的な人気を集めている。年齢は公表していない。
旧知のフォレスト出版の太田宏社長は「東証1万円割れを早くから予測するなど、後講釈が多い国内のアナリストとは一線を画す」と語る。著書によると、ニューヨーク郊外の自宅で朝起きて一番にするのは、《床に座禅を組んで瞑想すること》。1年の3分の1を費やして欧米や日本などの投資先企業を訪問したときの感触、過去の相場観が心の中で整理され、決断が生まれるという。