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金融庁は2日、証券会社などが証券金融会社から株券を借りて売る信用取引に対し、初の価格規制を今秋にもかける方針を固めた。同庁が策定中の新しい「証券市場構造改革プログラム」に盛り込まれる。91年の損失補填(ほてん)事件を機に禁止された、証券会社が投資家から資金を預かり運用を任される「一任勘定取引」の一部解禁も検討する。信用売りの規制は、今春の「空売り規制」に続くものだ。
プログラムには、銀行と系列証券会社が同一店舗に「間仕切り」なしで共同出店できる規制緩和策も盛り込まれる。一方で、企業会計への信頼を回復するため、「取引先を失った」「銀行から融資を断られた」など破綻(はたん)懸念情報の開示を企業に義務づける。
信用売りに対する価格規制は、証券会社など金融機関の自己売買が対象で、株価の下落局面で直近の「株価以下」での売りを禁止する。
同様の規制は今年2月、機関投資家から株を借りて行う「空売り」にもかけられた。株価低迷で「3月危機」が懸念されるなか、01年度末の株価回復に一定の効果があったとされている。
空売りと並び、株価の下落局面で値ざやを稼ぐ取引である信用売りにも価格規制をかけておかないと、取引が空売りから信用売りに流れ、株価下落に拍車をかけかねないとして、新たに規制をかけることにした。
証券取引法で禁じられている銘柄や価格などについて顧客の同意を得ず証券会社が取引する一任勘定取引については、株の売買価格について一定の幅を決め、証券会社の判断でできるようにするなど、一部解禁を検討する。
一任勘定取引は、欧米では認められている取引であるほか、株価が急変したときなどに、顧客と連絡がつかないために機動的な取引ができないと、資産運用ビジネスの進展の妨げになる、との判断が金融庁にはある。
証券業界は、信用売りの規制で株価の維持に一定の効果があるとの声がある一方、「市場に規制をかけると取引のボリューム自体が細っていきかねない」と、否定的な見方もある。
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<信用取引> 投資家が証券金融会社から株券を借りて売り、値下がりした時に買い戻して差益を狙う「信用売り」と、買い付け資金を証券会社から借りて株券を買って、値上がりしたところで売る「信用買い」の2種類がある。
<一任勘定取引> 証券会社が投資家から資金を預かり、株式などの売買、銘柄、株数、値段のすべてを任される取引。91年の大手証券会社の大口顧客に対する損失補填事件を機に不公正取引の温床になっているとして禁止された。