現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
厚生労働省は2日、3年続けて特例措置により凍結されてきた公的年金の物価スライド制を一部解除し、今年の物価下落分だけ来年度の年金給付を引き下げる方針を固めた。スライド制の適用で年金額が引き下げられるのは初めて。ただ、財務省は3年分のスライドの完全実施を求めており、引き下げ幅をめぐる調整は、年末の予算編成時期までもつれそうだ。
物価スライド制は、年平均の消費者物価の変動に応じて翌年度の年金額を増減する仕組み。物価が下落した場合は年金額は減るが、長引く不況のもとで「景気に悪影響を与える」として、00年度から3年連続で引き下げを見送っており、累計で1.7%分が凍結されている。
しかし、近く人事院勧告で公務員給与引き下げの方針が示される見通しとなり、政府・与党内でも「現役世代の収入が落ち込んでいる時に高齢者だけを特別扱いできない」との意見が強まっている。また、来年度予算編成では、社会保障関連予算の抑制が求められており、歳出削減につながる大きな制度改正がないなかで「物価スライドの実施をせざるを得ない」(厚労省幹部)と判断した。
今年の消費者物価は政府見通しで前年比マイナス0.6%。物価スライドを完全実施した場合、これまでの凍結分と合わせ2.3%の引き下げになる。国費ベースで1200億円程度節約できるため、財務省は完全実施を求めているが、厚生年金の標準モデル(夫婦2人、月額23万8000円)の場合で、月額約5400円、年額で6万5000円もの減額になる。
高齢者の生活や景気への影響を考慮し、厚労省は「完全実施は困難」と判断、景気動向を踏まえ0.6〜1%分の引き下げを求めることにした。この場合、国費ベースの歳出抑制効果は300億〜500億円程度にとどまる。
坂口厚労相も、来年度予算の概算要求基準(シーリング)について議論した2日の閣僚懇談会で、「過去の分は国会で決め、国民に約束したこと。それをさかのぼって(引き下げを)やるというのは信義に反する話で、どんなことがあってもできない」と述べ、物価スライドの実施は今年の物価下落分にとどめる意向を強調した。
(23:27)