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【リオデジャネイロ2日=本間圭一】
国連の中南米カリブ経済委員会(ECLAC)は1日、中南米とカリブ諸国が今年マイナス成長になるとの見通しを発表した。同委員会が今年6月に示した経済見通しを下方修正したもので、アルゼンチンの金融不安が中南米一帯に波及している実態が一段と鮮明になった。ECLACは、1980年代の中南米危機に匹敵する経済不安と指摘、国際通貨基金(IMF)に支援を要求しており、米国や国際金融機関などの対応次第では、経済混乱が社会不安を増幅しかねない情勢となってきている。
ECLACはこのほか、中南米諸国の経済情勢について、〈1〉失業率は今年、9%を上回る〈2〉今年上半期だけでインフレ率は8%に達した――などの指標を発表、「経済情勢は1980年代中盤の水準にある」と指摘した。
中南米諸国は1980年代、82年のメキシコ危機に端を発し、各国で累積債務問題が表面化。81―84年の国内総生産(GDP)成長率はほぼゼロで、失業率はチリやペルーなどで軒並み10%を上回り、超インフレが各国を襲った。
今回の“危機”は、90年代に進んだ南米諸国の地域統合により、各国の相互経済依存が強まった側面が大きい。預金流出から銀行営業の停止に追い込まれたウルグアイは、南米南部共同市場(メルコスル)に加盟、アルゼンチンの通貨切り下げで輸出が激減した。先月31日まで通貨レアルが史上最安値を更新したブラジルも、10月の大統領選で左派候補が当選するとの懸念に加え、主要な貿易相手国であるアルゼンチンの債務不履行(デフォルト)が飛び火するとの不安が強まっていた。
問題はこうした情勢が、各国で社会不安を引き起こしていることだ。南米有数の良好な治安とされるウルグアイでは1日、市民による商店略奪が相次いだ。今年のマイナス成長が予測されるベネズエラでは、チャベス大統領の支持基盤だった貧困層も反対派に回り、抗議デモが拡大している。
ECLACは1日、中南米一帯に広がる経済危機の原因としてIMFの政策を指摘した。IMFは融資実行の条件として、アルゼンチンに経済改革などを求め、双方の交渉は実質的な進展がなく、エクアドルで先週開かれた南米首脳会議では、IMFに対する批判が相次いだ。
(8月2日21:53)