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(回答先: Re: あっしら氏の主張と正反対の提言・・・ 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 7 月 31 日 22:33:29)
企業のためにもなる論理が理解できないのなら、そういう企業が無理して本社を日本国に置いてもらう必要はないと思っています。
奥田経団連会長は、経団連夏季セミナーで、日本の人口減少問題などを取り上げて税制が変更されないのであれば、本社の海外移転も考えざるを得ないという趣旨の発言をしたことは別の書き込みでも取り上げましたが、強気に言えば「どうぞお好きに移転なされば」と言いたいし、理性的に言えば「日本にいる方がなんにしろずっとお得ですよ」と言いたいし、感情的に言えば「トヨタをはじめとする輸出企業の多くは、輸出振興策・外資に対する直接投資規制・優先的融資・教育振興などの国策に拠ってここまでこれたのではないか。トヨタのために道路や高速道路を造ったとか、トヨタが持ち続けた旧住友銀行への怨念を今度は国民がトヨタに対して持つようになるとは言わないが」と言いたい。
「世界同時デフレ不況」に入って3年後くらいからは、スタグフレーションを起こす国(地域)が出てくると考えています。
欧米諸国の国民は、日本のようにおとなしく経済苦境に耐え忍んではくれないからです。
そうなる可能性が高い国(地域)に序列を付けると、ユーロ圏→米国→日本というように考えています。
これは、政治状況と供給力を勘案した序列です。
金持ちは、金融取引や事業で保有通貨を増加させることが出来ない状況と知れば、保有通貨を有効に使えるデフレを望みます。
しかし、突き詰めれば宵越しの金を持たない一般人は、回ってくる通貨量が減ることで生活水準が切り下がっていく状況に我慢が出来なくなります。
ユーロ圏は早い段階で政治的に不況緩和策を採らざるを得ないと予測し、米国は金融資本主義であることや「対テロ戦争」でしばらく踏ん張るという見方をしています。
統治者は、不況対策や国民生活維持の政府支出のための政府債務をできるだけ増やしたくないと考えるので増税を断行するはずです。
そのとき増税できる対象は限られています。
第一に富裕層の資産であり、第二に利益を上げている企業です。
それまでにトヨタが米国なりに本社を移しているとは思えませんが、そこで待ち受けているのは所得に対する増税だけでしょう。下手をすると、利益が出ていなくても外形的に課税される可能性もあるでしょう。
日本の企業が米国企業以上にむしり取られることは目に見えています。
中国も、市場主義に移行したと言っても、統制経済であることや自国第一主義(愛国主義)であることは変わっていません。
外資や輸入財に依存しているのも、自立的な近代国民経済を確立するための過程的手段として位置づけられているものです。
通貨(外貨)的に問題がなくなれば自国の経済主体であらゆる生産活動を行いたいと考え、技術水準を高めることで解決できるものは自国で生産できるようになりたいと考えています。
中国企業が日本企業に本格的にキャッチアップすれば、叩き出すというあこぎなことはしないとしても、日本企業の中国内活動に対して、陰に陽に風当たりが強くなります。(欧米のブランド品製造拠点のほうがまだ優遇されるでしょう)
日本の経済主体を親身にサポートするのは、日本国以外にはないのです。
「世界同時デフレ不況」は、日本が政策や経済価値観を軌道修正する絶好の機会になると考えています。
企業も、グロバール経済であることを前提にしながらも、本拠地である日本経済に目と軸足を移さざるを得なくなると考えています。
今後1、2年に起きる「世界同時デフレ不況」であれば、もっとも高い耐性を示すのは、国際競争力を維持しながら余剰通貨に恵まれている日本経済です。
日本は、貿易収支が5兆円ほどの黒字で既にデフレという状況ですから、供給力でダントツに勝っています。(企業は、操業率を落としながらも無理して人員を抱えて込んでもいます)
現在のところという断り付きですが、真の意味での“余剰通貨”と“余剰資本”が存在する国民経済は日本経済だけなのです。
金持ちも、来る「同時デフレ不況」を通じて、金融取引や通貨の保有だけでは通貨の価値が維持できないことに気づくべきです。
通貨が資本化されない状況が長く続けば、通貨自体が毀損されてゆきます。
金持ちが握りしめていることで、通貨の毀損が現象しないだけの話です。
政治(一般人が多数派)が勝てば、資本活動力が不足している国民経済ではインフレの昂進で通貨の毀損が否応なく現象することになります。
「同時デフレ不況」のなかで激しい保護貿易の動きが起きると予測され、欧州及び米州でブロック経済化がこれまで以上に急速に進むと予測しています。
日本の統治者は、この問題を考慮した上で今後の政策を立案する必要があります。
米国及び欧州向け輸出は減少する(当然それら向けの生産に使われるアジア向け輸出も)という前提で、今後の国際経済戦略を立てなければならないのです。
ブロック化が進む欧米にどう対抗するか、日本にとって残されている有望な市場はどこなのかを早急に考えなければ中長期的には生き残れなくなります。