現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
1兆円減税が消えた−。不正会計に端を発した米国売りのなか、景気の底離れに実感はなく、デフレ不況は深刻化するばかり。経済財政諮問会議の来年度予算の青写真から突如、小泉純一郎首相が指示した「法人税の1兆円減税」が削除された。財源不足を理由に、竹中平蔵・経済財政担当相が塩川正十郎・財務相に押し切られた。金融パニックを想定、決済性預金の全額保護の検討に入るなど、来春のペイオフ全面解禁も事実上、見送られ、経済失政の小泉首相のまやかし、構造改革の頓挫を露呈した。
竹中経財相や牛尾治朗ウシオ電機会長ら民間議員が参加し、国家戦略を検討する政府の経済財政諮問会議が、8月上旬にまとめる予定の「平成15年度予算の全体像」の修正案が30日、明らかとなった。
来年度予算の青写真ともいうべきもので、民間議員が26日の会議に提出し、原案に盛り込まれていた「歳出削減の成果を活用した1兆円の減税」との項目が削除されていることが分かった。
この日の会議には、小泉首相も出席、法人税負担の軽減を主体に、原案に盛り込まれた1兆円を超える「先行減税ができないか」と検討するよう指示したばかり。
首相は「将来に財政健全化の方策がきちんとしていれば、減税先行もあっていいんじゃないか」などとも語っていた。
そのうえ、来年度予算は「(国債発行の)30兆円枠にこだわらないで大胆かつ柔軟にやる」と公約違反も。
財界や金融業界の間では、「減税の財源としては、将来の増税を担保とした『つなぎ国債』の発行を意図している」とみられていた。
ところが、昨30日に判明した修正案では「歳出削減の成果を活用した1兆円の減税」という項目が消えたのである。
来年度予算の「一般歳出は47兆円程度」とした歳出削減の目標数値も、なくなっていた。
修正案は8月2日の諮問会議に竹中経財相が提出する。「歳出削減と景気対策の両立を目指す構造改革論者の竹中経財相にしてみれば、基本方針が骨抜きとなった案を提出するという屈辱になる」(金融アナリスト)
骨抜きの背景には今年度の予算編成を巡り、経済財政諮問会議など首相直轄機関の影響力が強まり、自らの存在意義が気薄になったと危機感を感じた財務省の巻き返しがあったとみられる。
小泉首相が減税方針を表明した直後に、塩川財務相が「国民からみたら、なんじゃこりゃ、何の経済効果があるのか、と思う」と語るなど、露骨とも思える形で不快感を表明している。
実際、歳出削減を前提に法人税を主体とした減税先行論に関しては、こんな批判もあった。
「来年度予算で法人税を減税しても、景気に効果が出るのは先。株価も上がらない。それより歳出削減のため、景気に直接的に影響する公共事業が削減されることにでもなれば、せっかく底入れした景気を再び、悪化させることになりかねない」(証券アナリスト)
平蔵氏と塩ジイは、財政論議や景気対策などを巡って、再三、意見が対立し、皮肉も交えてバトルを展開してきた。
経済オンチの小泉首相が場当たり的な減税を打ち出したことをキッカケに、「財務省側が『この時とばかり』に一気に巻き返しに出た」というのが、金融界の見方だ。
今回の修正案では、一般歳出について具体的規模を明示し、より一層の削減方針を示した民間議員原案の表現がかなり弱められた。
ただし、減税を行う場合、その財源は「将来の経済活性化による増収や課税の適正化」などで確保するとして、その規模、期間などを今後、検討していくとしている。
だが、財務省側は水面下で、より一層表現を曖昧(あいまい)にするよう働きかけており、来年度予算を巡る折衝が具体化するまでには、さらに内容が後退する可能性もある。
米国の株安や一時の円高などで、景気の先行きの不透明感がより強まり、政府に即効性のある景気対策を求める声が強まっている。
そこで、「構造改革なくして景気回復なし」を念仏のように唱える小泉首相も、1兆円減税をブチ上げたとみられるが、アドバルーンがすぐに破裂してしまい、改めて、経済オンチとリーダーシップ欠如をさらけ出す結果となった。