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(回答先: 【世界経済を認識する基礎】 “あっしら”的経済概念の説明:国民経済における余剰資本と余剰通貨 《年金問題の本質は“高齢化”にあらず》 〈その11〉 投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 27 日 20:51:36)
本文で説明した“余剰通貨”については、表現の稚拙さから、株式市場に張り付いた通貨であるかのような認識を持たれたのではないかと思っています。
恒常的投機資金だけでは、“余剰通貨”はすぐに枯渇してしまいます。
“余剰通貨”の持続的な源泉は、国際収支(経常収支−資本収支)の黒字です。どちらかと言うと、経常収支の黒字と考えたほうがいいでしょう。
現在の日本は、貿易収支と所得収支を合わせた経常収支の黒字が10兆円を超えています。
この黒字額は、資本収支の赤字で帳消しされない限り、日本円の通貨量増加になります。
3兆円が対外投資に向けられて国際収支の黒字が毎年7兆円規模で続くと、日銀が作為的に調整しない限り、通貨発行残高は毎年自動的に7兆円増加します。
これがきちんと資本化されるかどうかで、国民経済の成長が大きく異なります。
日本経済は、95年から00年にかけて、国際収支黒字の累計が14兆円ほどで、通貨発行残高も17兆5千億円増加しました。
しかし、預金残高の増加は7兆4千億円しかなく、貸し出し残高に至っては、逆に22兆4千億円も減少しています。
17兆5千億円+22兆4千億円=約40兆円が、この期間に処理された銀行の不良債権額に相当すると考えています。
すなわち、銀行の不良債権処理のために、40兆円もの通貨が資本化されなかったことになります。
これでは、国民経済がデフレになるのは当然です。
それはともかく、このような経済論理からも、日本経済が活力を伴うかたちで持続するためには、経常収支の黒字を維持する必要があります。
“余剰通貨”については、株式市場に滞留している通貨を標的にしているかのように思われる説明になっているかなと反省しています。
また、株式取引を否定しているわけではなく、儲けた通貨でまたすぐに別の株式を買うという取引を長期に行うと、その通貨は価値を失っていくので、バブルの形成・崩壊につながっていくということです。
半年に一回か1年に一回は、株で儲けたら、株式にすぐに再投資するのではなく、消費に回すほうが日本経済のためになります。
預貯金もそうですが、株式を保有し続けたり、債券投資をすることは、他の経済主体が代わりに資本化していますから“通常”であれば問題ありません。
(郵便貯金関係は、財政投融資が思うようにできないことからだぶつき気味のようですが、高金利時代の分が減るのでそれなりに調整されます。とりあえずは、国債で運用されるでしょう)
※ 本文に関る書き込みとして、財務省キャリアとやり取りしているもののなかに次の二つがありますので、ご参照いただければ幸いです。
1)日本経済に必要な短期的政策
『“微温的政策”は「デフレ不況」克服の出発点だと考えています』
( http://www.asyura.com/2002/hasan12/msg/307.html )
2)90年代の政策評価
『Re:“魔法”はないが“名医”や“合理的手法”はあります』
( http://www.asyura.com/2002/hasan12/msg/249.html )