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「時間軸効果」が債券市場で話題に上がり始めている。市場参加者は現在の超金融緩和措置が長期化する可能性の高いことを改めて意識し、残存期間の長い債券に買いが入り、債券相場は堅調な展開となっている。
日銀は2001年3月19日の金融政策決定会合で、それまでの金融政策方針を180度変え、金融調節目標を「金利」から日銀当座預金残高という「量」に変更することを決めた。そして、その量的緩和策を「消費者物価上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで続ける」と宣言したのである。これは物価下落(つまりデフレ)が収まることがはっきりするまでは超金融緩和策である量的緩和を続けることで、金融政策の不確実性を減少させ、緩和効果を強めることが狙いと思われる。
当然、市場参加者はいつまで量的緩和が続くのか、その「時間軸」を考えながら、金利(債券相場)を読み、投資行動を取ることになる。当初、その「時間軸」は1〜2年後だった。つまり、2001年3月から数えれば、2002年3月から2004年3月くらいまで量的緩和が続くと読んでいたのである。
事実、国内景気は2001年末から2002年初めに底を打った可能性は高い。これは読み通りといえる。しかし、日本マクドナルドのハンバーガーの価格引き下げに象徴されるように、景気が回復してもデフレは続くのではないかという見方がここにきて急速に強まってきたのである。追い討ちをかけるように、米国株式相場の下落の影響で日本株が売られたり、急速な円高・ドル安が進行していることもデフレ圧力を強める要因として意識されているわけだ。デフレはいっこうに解消される気配もない。
しかも、過去の経緯もある。
2000年8月、日銀は政府の反対を押し切ってゼロ金利を解除したが、結局、国内景気は腰折れし、株価の暴落などを受けて、再度、ゼロ金利に戻さざるを得なくなった。これが冒頭の2001年3月の量的緩和転換なのである。
市場参加者のなかには、これが日銀にとってのトラウマとなり、たとえ消費者物価指数がゼロ以上となったとしても、そう簡単には金融引締め策には転じられないといった見方も根強い。
量的緩和の時間軸は延びてしまい、3〜4年は量的緩和の解除が難しいといった見方に変化してきているのである。
最近、「少しでも期間の長い債券をポートフォリオに」と5年国債などに投資家の買いが入っている。5年国債の利回りは現在の0.4%近辺から0.3%前後にまで低下するといった見方が強まってきた。そうなれば、10年国債の利回りも影響を受けて、いずれ1.2%を割り込むことも考えられる。
23日には10年国債の入札がある。表面利率は1.3%となりそうだが、入札前に買い進まれるようなことがあれば、1.2%となる可能性もないとはいえない。入札を控えて、債券先物などに比べると、10年債にはやや割安感の強まっていることもあり、入札が大きな波乱を呼ぶようなことはないだろう。株安、円高は債券にとって買い材料である。債券相場は当面、上昇し、いずれ、先物相場は140円を回復してくるものと考えられる。
アール・ピー・テック ディレクター 久保田博幸氏