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「先週末、ニューヨーク株式市場におけるダウ工業株３０種平均などが急落し、今週に入っても大幅な下落が続くという展開を受けて、東京株式市場においても日経平均株価が１万円の大台を巡る攻防戦を続けている。そうした状況の中、意外にも銀行株が全面高という様相を呈している。しかも、こうした動きは大手行の株価に限定したものでなく、地銀中下位行株にも広がっているのが実情だ。今後、銀行株の動きには要注目だろう」
大手銀行の株式運用担当責任者がこう言ってみせる。
昨日（７月２３日）の主要銀行の株価は、以下に示す通りの展開となった（終値ベース）。
みずほホールディングス…２９万２０００円（前日比１万５０００円高、額面５万円）
三菱東京ファイナンシャルグループ…８９万３０００円（前日比３万３０００円高、同）
ＵＦＪホールディングス…３１万１０００円（前日比１万２０００円高、同）
三井住友銀行…６８４円（前日比３２円高、額面５０円）
大和銀行ホールディングス…９５円（前日比２円高、同）
「銀行株の買い手口を見ると、外資系証券会社が中心になっていることは明らか。こうしたことから考えて、“外資”サイドが積極的に邦銀株買いに動いてきていることは、間違いないだろう」（大手証券会社幹部）
それではなぜ、銀行株全体が買われるという展開になったのであろうか。
「それはやはり、『ペイオフ全体解禁はスケジュール通りに進める』とした、小泉純一郎首相、塩川正十郎財務相の一連の発言がマーケットから評価されたとみていいだろう」（米系大手証券会社首脳）
小泉首相は、一昨日（７月２２日）の予算委員会で、“ペイオフ全面解禁”に関して、以下の通り発言した。
「（ペイオフ全面解禁は）予定通り実施する。実施によって金融システムの安定化を図り、改革実現に向けて努力していかないといけない」
また、塩川財務相は昨日（２３日）、閣議後の定例記者会見で、
「（ペイオフ全面解禁のスケジュールは）確定している」
と断言する一方、
「ペイオフを機会に金融機関が体質改善しない限り、いつまでたっても不安な金融機関で終わってしまう」
前述の米系大手証券会社首脳が言う。
「政府首脳が、ペイオフ全面解禁に関してこうした毅然としたスタンスを示したことがマーケットから評価されたのだろう。仮にここで日本政府がペイオフ解禁の延期に傾けば、経済内容の悪い金融機関の処理が先送りされることになったとマーケットは判断し、逆に銀行株は全面安という展開になっていただろう。だからこそ、地銀中下位行の株まで幅広く買われたのだ」
ＴＯＰＩＸ（東証株価指数）の業種別株価指数から見た騰落率においても、銀行株が上昇率トップとなっている。
「市場が、ペイオフ全面解禁の実施を後押しし始めた、と見るべきだろう。こうした市場からのシグナルを、ペイオフ解禁延期論者はどのように受けとめるのか。市場を敵に回すか味方につけるか、金融業界は重要な岐路に立っているといえよう」（大手銀行幹部）
いずれにしても、銀行株の今後の動向には、要注目だろう。

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