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★史上最大の倒産、そしてアメリカは★
アメリカの通信大手ワールドコムが倒産した。エネルギー大手のエンロンと
同じく不正会計疑惑が原因だ。収益を水増ししたことが明らかになって以来、
顧客が支払いを止め、納入業者が現金での支払いを求めたから、一挙に資金繰
りが悪化してチャプター11(日本の会社更正法)適用申請に追い込まれた。
史上最大の倒産であるだけにその心理的影響はもちろん大きい。それ以上に
問題なのは、いわゆる「会計疑惑」がどこまで広がるのかということと、これ
によって株価がどこまで下がり、それが景気にどのような影響を与えるか、と
いうことである。粉飾決算をやっていたのが、エンロンとワールドコムだけで
あるはずがないと、ある公認会計士も言う。
こうした疑惑が払拭されないかぎり、アメリカの株を積極的に買おうとする
外国の投資家はいないだろう。ここで株がさらに値下がりすることになると、
その影響は小さくないかもしれない。ある試算によると、ここ2週間でアメリ
カが失った株式時価総額は1兆4000億ドル。円に換算するとざっと150兆円。日
本の年間国内総生産のほぼ30%もの資産が消えた勘定だ。
株価が下がればいわゆる「逆資産効果」が生まれる。株価が高いときには消
費者は豊かになったと感じて消費を増やすのが「資産効果」。その逆の現象が
起きるというのだ。ところが今のところ、アメリカ経済で最も大きな比重を占
める消費行動に目立った変化はない。
金利が安く、住宅価格が値上がり傾向にあるところから、住宅投資もそう大
幅に減速するような気配はない。グリーンスパン連邦準備理事会議長も、慎重
な言い回しながら景気は回復方向にあると証言している。
しかし消費動向を占う新しい数字が今週相次いで発表される予定であり、そ
こで厳しい数字が出てくると、アメリカの景気回復が水を差される可能性は大
きい。そうなると今や世界経済を牽引している唯一の機関車が脱線することに
なってしまう。輸出主導で景気がよくなってきた日本経済は、ひとたまりもな
く再びゼロ成長あるいはマイナス成長になってしまうかもしれない。
もともとアメリカの株価、特にダウ工業株30種平均が高すぎたとはいえ、欲
にまみれた企業経営者と会計事務所がもたらした損害はあまりにも大きい。金
融市場では、信用が大きな財産である。日本の銀行もその信用を失ったおかげ
で資金調達に余分の金利を払わねばならなくなった。そして信用に関して最も
うるさいのは、いうまでもなくアメリカである。
インサイダー取引疑惑もあるブッシュ大統領が、果たしてこのアメリカの
「信用危機」を乗り切ることができるのだろうか。祈るような気持ちでアメリ
カを見つめているのは、日本も欧州も同じである。(藤田)