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とうとう7800ドルを割り込み、底なし沼にはまった米国株式市場。不正会計の発覚に端を発した株安、ドル安の「米国売り」が続けば、底入れしたとはいえ脆弱(ぜいじゃく)な日本経済を直撃し、封じ込めたはずの金融不安への恐怖が再び頭をもたげている。
先週末のニューヨーク市場では、株価が急落したものの出来高も史上最高を記録し、市場関係者の間では「アク抜け」も期待されていたが、結局は希望的観測でしかなかった。通信大手ワールドコムの破綻(はたん)も打ち止め感はなく、22日もダウ工業株30種平均が一時、300ドルを超える下げ幅となった。
90年代に栄華を誇った米国経済の凋落(ちょうらく)は、自国のバブルで受けた深い傷がいまだ完治していない日本経済、とりわけ銀行に新たなダメージを与えることになる。
米国株安が、日本株の一段安を誘発すると、空売り規制でひと息ついた銀行の保有株の含み損が増大する。現在も大手行で2兆円弱といわれる含み損が、平均株価が9000円台半ばまで落ち込むと4兆円規模に拡大、決算に大きな悪影響を与える。
一方、自己資本比率も1万円割れの水準で大手行の自己資本比率は0.3%下落し、10%台すれすれとなっているが、9500円で9.6%まで落ち込むとの試算もある。
大手各行は、健全性の目安となる8%(国際行基準)の自己資本比率を維持するため、資産の圧縮を進めているが、こうした努力も株価の急落で帳消しとなってしまう。
かといって、融資先企業への貸し渋りや貸しはがし、持ち合い株の売却を加速させると、ますます株価下落や景気悪化をを招き、不良債権の処理原資が枯渇するという自縄自縛の状態に陥りかねない。
何とか4つのメガバンク体制が本格始動した国内行だが、実態は、貸し倒れ引当金に対して払った税金が将来、返ってくることを前提に資本に組み入れる税効果会計と公的資金でかさあげされているのが大半で、赤字決算が続けば自己資本比率が8%割れし、公的資金による準国有化や、メガバンクの再々編といったシナリオも現実味を帯びてくる。
財務省の武藤敏郎次官は、「現在は順調な米国の消費や生産へ波及し、日本経済にも悪影響を及ぼす可能性がある」と米国株安に懸念を示し、日本経団連の奥田碩(ひろし)会長も平均株価1万円割れは「相当きつい水準で、経済自体がおかしくなる恐れがある」と危惧するが、実体経済に大きな影響を及ぼすのが米国株安にともなう円高ドル安だ。
国内大手電機メーカーは、今年4−6月期決算で、前年の大赤字から一転、黒字を計上する見通しだが、いずれも1ドル=120−130円を想定しており、米国の消費減速や円高ドル安傾向が続けば、V字回復シナリオも水泡に帰す。
さらに深刻なのが中小企業で、内閣府のアンケート調査では、資本金100億円以上の大企業の平均で1ドル=113円台まで採算が取れるのに対し、資本金10億円未満の企業の平均では1ドル=125円台で持ちこたえられず、採算割れしてしまうという結果が出ている。
「1万円を割り込む水準では機関投資家の買いが入る」(大手証券)、「日本株は米国離れしている」(別の大手証券)と日本株の底堅さを強調する声もあるが、デフレ対策や税制改革もたなざらし状態で、政府は補正予算にも否定的と、新たな買い材料も見当たらない。9月末の中間決算を控え、再び金融&経済危機の足音が聞こえてきそうだが…。