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株式相場がこの2年間、情け容赦なく崩壊を続けてきたことで、証券業界の中で弱体化した会社は、経営が危うくなっている。
7月中旬にフリートボストン・フィナンシャルが、子会社のロバートソン・スティーブンスに買い手が見つからなかったとして同子会社の閉鎖を決めたことや、さらには先週、欧州の保険会社アリアンツが自社の証券部門ドレスナー・クラインオート・ワッサースタインの規模縮小を検討していると報道されたことは、いずれもこの兆候を示唆するものである。しかし多分、このような動きの中で、もっとも重要な存在は、クレディスイス・グループ(NYSE:CSR)であろう。ウインタートウル保険部門における資本注入の必要を迫った株式相場の下落によって、同グループのクレディスイス・ファーストボストン(CSFB)証券部門に関する経営力が弱まっているからだ。
アナリストによれば、クレディスイス・グループ株は年初来58%の下落となったが、この間欧州のライバル大手の株価は26%−30%の下落にとどまっているという。そして、これは同グループが外部資本からの資本注入を求めることになるかもしれないという、投資家の懸念を反映するものだという。それによって、同グループの発行済み株式の価値が希薄化されるからだ。他の手段として取り得るものの一つは、配当の削減だという。
さらには、同グループ、またはCSFB部門が、より強力なライバルの一社に身売りするのではないか、とのうわさが広がっている。潜在的な買い手として名前がひんぱんに挙がっているのは、シティグループ、ドイツ銀行、UBS、そしてバンク・オブ・アメリカなどである。いずれも、クレディスイス・グループより高い信用格付けと、強い資金基盤を誇っている。クレディスイス・グループの経営幹部と上記の銀行との間で、すでに「非公式な交渉」が始まっているかもしれないし、ある消息筋によれば、最終的には買収案件がまとまるとの見方もあるが、大部分のアナリストは、クレディスイスがその道を選ぶのは最後の手段になるとしている。
先週水曜日に、スタンダード&プアーズは、クレディスイス・グループと一部のライバルの社債に関するアウトルックをネガティブに引き下げた。これは、クレディスイス・グループの長期社債をシングルAプラスに格下げしてから、わずかに2ヵ月後のことである。その当時も現在も、相場が下がっている中で、同グループが資本を再構築するのは困難であるとの懸念が、その理由となっている。同グループは、2000年後期ににドナルドソン・ルフキン・ジェンレットを120億ドルで買収したが、このタイミングの悪さが災いしているのだ。
投資銀行として評価の高いCSFBが、投資銀行業務の低迷で苦戦を強いられていることは事実であるが、クレディスイス・グループの資本流出のより大きな原因は、ウインタートウル保険部門である。CSFBは実際、第2四半期には増益となっている。これは積極的なコスト削減策が功を奏したからだ。ウインタートウル保険部門の資本注入の必要性は、株式相場下落の影響を大きく受けたからだ。欧州の保険会社は、株式投資に運用資金の15%以上を注ぎ込んでいる。米国の保険会社は通常、これをわずか5%程度にとどめている。