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米通信大手のワールドコムが経営破たんした。負債総額はおよそ410億ドル(日本円換算4兆8000億円)と、米国史上最大の負債規模に達する見通しだ。電力大手のエンロン、流通のKマート、そしてワールドコムと超大型倒産が続く米国。ショックは一国の経済だけに留まらない。東京株式市場でも「ワールドコムショックは避けられない」(大手証券)模様で、ただでさえ低調な株価をさらに押し下げる要因として懸念されている。市場では、ワールドコム破たんによる米国経済の低迷から始まり、米国株下落〜米機関投資家による世界的な資金引き上げ〜日本株低迷・・・という負の連鎖を危惧、早くも企業の中間決算期である「9月危機」が再び頭をもたげている。世界経済は一体、どうなってしまうのだろうか―。
●正念場は“お盆”にやってくる〜引き金は株式相場から?
「最初の正念場は8月の第3週目にやってくるだろう」―ある大手証券関係者は今後の東京市場をこう分析する。現在市場で危惧されているのが「8月〜8000円台説」。ゴロの良さからいわれる話ではなく、平均株価が一気に9000円台を割り込み、8000円台に突入するというもの。常識的に考えれば、到底考えにくい数字だが、ワールドコム破たんでその信憑性は一気に増した。
8月の第3週目といえば、日本では12日から始まるお盆休みの最中。生保や損保など機関投資家も休みモードに入り、商いが低調になることは間違いないところ。薄商いでは相場は振れやすく、ちょっとした売り物で株価全体が値下がりしてしまう。「お盆前に9000円台前半まで下がる事態を招けば、お盆中に一時的に8000円台突入もありうる」(市場関係者)。機関投資家は、ゴールデンウイークや年始年末時には「ポジションを取りたがらず、まずは売っておくことが一般的な動き」(同)。9月危機の引き金を株式相場が引く可能性は否定できない。
●円高も悪材料〜外国人投資家が二の足を踏む
国内投資家は売り先行の相場展開になるが、外国人投資家はどう動くのか。エンロン、ワールドコムという相次ぐ粉飾決算により、米投資家は投資に二の足を踏んでいる。投資したくても投資できない環境に追い込まれているからだ。ポジションを東京市場など海外市場に求める可能性もなくはないが、これも期待薄だろう。ひとつのネックが円高。外国人投資家は日本株を購入する際、ドルを円に交換して売買する手続きが必要で、現在の円高基調では投資に二の足を踏むことは間違いない。また、企業会計への不信が募る状況で「“ソニー疑惑”(香港紙が報じた不正会計疑惑)も日本株離れを起こす要因」(同)。現に22日には外国人の換金売りが続き、ソニー<6758>株は一時年初来安値をつけている。期待の外国人も売り越すとみていいだろう。
●もう通用しない「官製相場」
ワールドコムショックで米国経済の停滞、世界同時株安、IT産業の立ち直りの遅れと、悪材料がこれでもかと出始めた状況で、もっとも心配されるのが「9月危機説」だ。「3月危機」は、政府による株価維持が徹底される“官製相場”でどうにか乗り切ったものの、今回は危機感が薄れており、対応が遅れる懸念も残る。一般企業にとって株価低迷は即、格付け低下につながり、企業の調達レートは上昇、再建中の企業にとっては資金面で首を絞められることは避けられない。肝心の銀行も再び株式の評価損、減損処理に追われ、昨年同様の企業整理が開始される事態も想像に難くない。ワールドコムがもたらすショックはもはや計り知れない。
(井原 一樹)
・「深層・真相」〜ワールドコムの衝撃が日本経済を突き落とす
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200207/04/20020704163006_58.shtml
・侮るなかれ「ワールドコム事件」〜単純なだけ始末に悪い
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200207/02/20020702124515_12.shtml
・エンロン破たんの余波〜銀行、証券に巨額の隠れ損失?
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200112/11/20011211103516_27.shtml