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(回答先: 円高抑制が真の構造改革? 投稿者 baka 日時 2002 年 8 月 28 日 21:31:25)
bakaさん、こんばんわ。
面倒なので、個別にいただいたレスについて、ここでまとめてレスします。
● 円高抑制策
為替取引への介入による「円安誘導」は、警戒感を誘発することは確かですが、数兆ドルとも言われている外国為替市場に流れ込んでくる資金の傾向に抗うことはできない手法です。(まあ、できるだけ多額の円に転換できる機会(円安状態)を長引かせる程度の役目は果たせるというものです)
円高抑制策は、
★ 輸出財生産従事者の給与を上げる
★ 輸出税などで税収を上げる
を実施することで、財の名目価格を上げるというものです。
固定相場制であれば、これらの政策は国際競争力を中長期的にも劣化させますが、変動相場制であれば、短期的には国際競争力を劣化させるとしても、輸出財の価格が上昇することで自然(論理的)に円安に動いていくため調整されます。
企業は生産性(「労働価値」)上昇分以上には給与を上げないでしょうし、政府も生産性を目安に輸出税率を設定するはずですから、円安といっても緩やかなものになります。
極端な円安は、輸入財価格を考慮すると国際競争力を劣化させるとともに、「労働価値」上昇意欲を衰退させるので、日本経済にとって好ましいものではありません。
円高になる条件というのは、円高抑制策を実行していくならば、生活水準を上昇させる条件でもあるわけです。
「労働価値」上昇→財の価格下落→輸出増加→円高→給与水準アップ→財の価格上昇→輸出減少→円安→「労働価値上昇」→・・・・というサイクルを維持できる国民経済が、国民生活の向上を実現しながら経済成長も遂げられる理想的なものです。
為替市場介入で円安に誘導する政策は、傾向的円高を防止することができないだけでなく、余分に米国債を積み上げることにもなるので、愚の骨頂です。
「労働価値」上昇の相対的比較で劣っても、円高抑制策を採ったときと同じように、輸出財の価格が上昇し円安傾向になります。これによって円安になると、国際競争力を失っていきます。(米国のドル安はこのようなかたちで進んだものですから、国際競争力を衰退させていきました)
外国為替市場に厖大な投機資金が入り込んでいるとしても、長期的には、国際競争財価格の国際比較で為替レートが規定されることに変わりはありません。
結果的に円安になってしまうのか、意識的に円安にして再度円高条件をつくり出していける条件をもっているかで、同じ円安でも、経済全体に異なる影響を及ぼします。
● 「匿名希望」氏とのやり取り
>「とりわけ始末に困るのは、価値観や論理が“信仰”になっている人との論争です。
>こういう人は、論議を布教活動の場としてしまいます。」この点については、bakaの
>初体験です。bakaも御同様でしょうか?
いろんなところでの書き込みを拝見していますが、いえいえ、そんなことはありません。
共産主義=悪、民営化=素晴らしいといった“信仰”に少し毛の生えた程度の論理的説明をしている人たちのことです。
こういう人たちに共産主義もそれほど悪くないと言ったとたんに、根拠にもならない話レベルで批判が襲ってきたり、民営化は問題を起こすと言ったとたんに、抵抗派や利権にしがみつく輩という罵倒を浴びせてきます。
そして、そのやり取りを眺めている人たちのある部分も、それぞれの“信仰”に基づいて正否の判定を下すでしょう。
「匿名希望」氏については、“信仰”に基づいて、他者の言説を評価したり、自身の論理を説明していないことで高く評価しています。
それは、職責と相殺されるものだとも思っています。
氏の姿勢も、ほとばしる自尊心はともかく、世上で言われている官僚像とは異なるものだと受け止めています。
陰謀論のサイトとも思われている阿修羅で、身分を明かし、積極的に発言していることが最大の評価ポイントです。
「匿名希望」氏が、仮に責任を自覚しているとしても、こういう場で、先輩や自分を含む同僚たちの責任を明確に認めるわけにはいかないでしょう。
身分を明かしていることで発言の内容及び範囲は自ずと制限されますから、そのへんを斟酌する必要があると思っています。
「匿名希望」氏は強烈な自負心をお持ちのようですから、罵倒的な言辞にはタフだと見受けられますし、昨今の世論動向からいろんな罵倒が寄せられることは覚悟しているはずです。
原則的に言えば、政治が決定したことを遂行できるようにするのが官僚の役目ですから、責任の大半は政治家にあります。
それでも、たまには、bakaさんのように批判を投げかけることも必要だと思っています。
お互い立場を分かり合ってしまってなあなあじゃ面白くないし、なんと言っても政治家が判断する元ネタを提供している機構の一員であり、高い論理的思考力を自負している方ですからね。
(氏には余計なお世話かもしれませんが、「匿名希望」氏も、時としてそのような批判がレスされることを喜んでいるかもしれません)