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<ムーディーズ>日本の地方銀行セクターに関するレポートを発表
日本の地方銀行セクターはマクロプレッシャーと共に不透明な政策上のインプリケーシ
ョンに直面しているとするレポートを発表
2002年(平成14年)8月23日、東京、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、日本
の地方銀行セクターに対する格付け見通しをネガティブとしつつ、同セクターが今後継
続的に直面する問題を予測するレポートを発表した。ムーディーズが格付けを付与して
いる地銀30行のうち、6行が格下げ方向で見直し中であり、9行の格付け見通しがネガテ
ィブとされている。さらに、格下げの方向で見直し中か、格付け見通しがネガティブと
されているこれらの銀行の格付けは、高い銀行でAa3、低い銀行でBa1と幅広く分
布している。
最近発表された「日本の地方銀行−Banking System Outlook 2002」と題するこのレポー
トで、ムーディーズは、日本の地銀は継続的な問題を抱えており、「格下げ圧力にさら
される銀行の格付け分布がこのように広範囲に亘るという事実は、取りも直さず日本の
地方銀行業界全体が抱える問題の大きさを反映している」と述べている。ムーディーズ
は同レポートの中で、同セクターが直面する様々な問題のひとつに、日本の地方経済の
厳しい現況に起因して、地銀の営業基盤がおしなべて深刻に毀損されつつある点が挙げ
られるとしている。
本年4月に政府が銀行定期預金の全額保護を廃止して以来の全般的な傾向として、財務基
盤が弱く小規模の金融機関から財務基盤が強固で大規模の地銀や都銀へ、また、定期預
金から未だ全額保護される普通預金へと資金が徐々に移動している。2003年4月には、真
の市場規律の導入を目指す政府の方針を反映して、普通預金に対する保護の廃止が予定
されている。
翻って、日本の地銀セクターは、継続的なシステミック・サポートとともに、地方銀行
システムの安定に向けた当局の方針が変化していないといった強みも有している。地域
金融機関の合併等の促進とともに、決済性預金の全額保護を検討するとの金融庁の意向
は、そうした強みの傍証となっている。
ムーディーズは、「このような施策は、金融セクターの安定を引き続き確保しようとす
る政府の姿勢を示しており、市場機能の強化を図るための施策がもたらす痛みを幾分緩
和しようとするものである。ムーディーズは、財務基盤が弱い金融機関の市場退出は長
期的に金融セクターにプラスとなると考えている。しかしながら、脆弱な状態にある金
融システムに市場規律を持ち込むことにはリスクが伴い、金融システムへの信頼に過度
のダメージを与える恐れがある」と付言している。
さらに、同レポートは、地銀の資産の質が悪化することは不可避と述べる一方、土地開
発公社や住宅供給公社などの開発型準地方自治体向けエクスポージャーからの潜在的脅
威についても警鐘を発している。結果として、日本の地銀の実質的自己資本は今後も経
済低迷による圧力を継続的に被るとし、「ムーディーズは、信用コストが今後とも地銀
の償却前利益の高い割合を侵食するとの悲観的見方を変えていない」と述べている。
以上
クイックより