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「来年の4月1日にどうしても間に合わせようとするならば、こうしたプランが浮上してくるのも当然と言えば当然。ただし、仮にもしこのプランが採用されるようなことがあれば、ペイオフ全面解禁は実質的に見送られた、とみるべきだろう−−」
大手都銀経営中枢幹部が、シニカルな口調でこういってみせる。
このコメントに登場する「このプラン」とは、「すべての普通預金を無利子化した上で“新型預金口座”へ移行させ、それを恒久的に全額保護する」という構想のことを指す。
ここへきて金融庁内部では、こうした“構想”が急浮上してきた。と同時に、首相指示でもあるペイオフ完全解禁下における“決済性預金の保護”を実現する上で、最も有力なプランとして急速に支持を集めつつあるのが実情だ。
そもそも金融庁サイドとしては前述したような首相指示を受け、(1)当座預金、別段預金などの全額保護(2)金利ゼロの新型普通預金を創設し、これを全額保護−−という具体案を軸にこれまで対応を進めてきた。
「ところが、金融業界サイドから『来年4月1日から新型普通預金の取り扱いが仮に決まったとしても、システム対応がとても間に合わない。また、システム開発を行うためには膨大なコストを必要とすることは必至で、それに耐えられないところも出てくる−−』といった反応が続出し、金融庁としてはそうした構想は全面的に見直さざるを得ない状況に追い込まれてしまったのです−−」(金融庁幹部)
さらに“ビッグ4”を中心とする大手行サイドからは、反発する声もあがっていた。
「言うところの“新型普通預金”については、もし仮に導入が決まったとしても、当行では絶対に取り扱わない。そもそも当行ではその種の預金を必要とするような状況になっていない。また、顧客ニーズもない。仮に金融庁が全行一斉導入を迫ってきたとしても、当行は徹底的に抵抗する」(大手都銀首脳)
つまり金融庁サイドとしては、こうした金融機関サイドの“反乱”を受けて、当初の構想を全面的に見直さざるを得ない状況に陥ってしまったのである。
こうした状況を受けて浮上してきたのが、前述したような普通預金のゼロ金利化構想だ。
それではなぜ、金融庁はそうまでして“ゼロ金利”こだわるのだろうか。現状のまま、普通預金をペイオフ制度の対象外とし、全額保護としたほうがよっぽどスッキリするのではないだろうか。
「金利がつくということは、“貯蓄性預金”という色彩を持ってしまう。従って、金利のつく普通預金を全額保護したのでは、『決済性預金の保護』という趣旨から逸脱してしまう」(金融庁幹部)
何とも妙なロジックとしか言いようがない。
そもそも普通預金は、決済性預金であると同時に、流動性預金という性格もあわせ持つ。この“流動性預金”とは、いわゆる“定期性預金”の対極に位置する預金商品といっていいだろう。
そしてこの“流動性預金”の金利は、マーケット金利に連動し、“定期性預金”の金利にも事実上、影響を与えている。
「普通預金の金利を強制的にゼロにするということは、そうした“金利体系”をズタズタにしてしまうことになるのです。そうしたことに思いが及ばない金融庁は、まさに金融のシロウトとしか言いようがない」(大手都銀首脳)
今回の一連のドタバタ劇で、金融庁はその無能ぶりを見事にさらけ出してしまったといえるだろう。
いずれにしても、“ペイオフ全面解禁”は、恒久的に延期される公算が大だ。