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政府の道路関係4公団民営化推進委員会は22日の集中質疑で、工事に着手している高速道路すべての完成を断念し、一部中止や規模縮小を求めることで一致した。ただ、全工事の一時凍結を主張する作家の猪瀬直樹氏、松田昌士JR東日本会長らと、「凍結」の“過激表現”を避けたい委員長の今井敬新日鉄会長が机を叩いて激しく応酬する一幕も。全工事を実施すると債務返済が困難で民営化は不可能−という4公団の厳しい財務事情を浮き彫りにした。
高速道は政府が整備計画を立て、日本道路公団(JH)に建設施行命令を出す。現在、9342キロの整備計画のうち、9064キロについて施行命令が出ており、約2100キロが未完成路線だ。
未完成路線について猪瀬、松田両氏らは工事の一時凍結を主張。これに今井委員長が「(建設凍結は)基準を作ってからで十分間に合う。全面凍結で起きるリアクションは、民営化の動きにプラスにならない」と慎重論を展開した。
これに激高した松田氏が「委員長の話はちょっと違う。いま流れている血を止めようという話。これ以上借金を増やさないのが使命だ」と机を叩き、財界を代表する両巨頭の激突に会場は静まり返った。
結局、施行命令が出ている路線でも、建設の是非を「再検討」するよう求めるという玉虫色の表現で落ち着いたが、表現の是非はともかく、未完成の2100キロすべてを建設するのは事実上不可能となった格好だ。
背景には、民営化される道路4公団の厳しい財務状況がある。
財務アナリストの川本裕子委員は、4公団が10年後に健全な民間企業並みになるには最低8.1兆円の債務削減が必要との試算を公表した。
4公団の財政状況の悪化を家計にたとえ、「年収600万円の家庭が頭金2500万円で1億円の住宅を買い、7500万円のローンを抱えている」と説明した。
4公団の道路資産総額は47兆2000億円。このうち借金である未償還残高は35兆5000億円。年間収入は2兆8000億円で、収入から支払い利息、管理費などを差し引くと7000億円しかなく、借金返済には50年かかる計算だ。
22ある赤字路線を黒字にするには、現在の料金を最高12倍まで引き上げる必要があるとも指摘。8.1兆円の債務削減については、債務の返済期間が長引けば金利負担などが増大するとして、税金投入による早期債務処理が必要になる可能性もあるという。
民営化推進委は23日も集中質疑を続行、日本道路公団の民営化後の経営形態をテーマに、新会社と別に「道路保有機構」を設立する構想の是非や、債務処理の方策などについて議論する。