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「いま起きているのは新生銀不況だ」−。『金融腐蝕列島・呪縛(じゅばく)』などのベストセラーで知られる経済小説の第一人者、高杉良氏がついに、米国流のドライであこぎな貸し剥(は)がしを続ける新生銀行に怒りの声を上げた。破綻(はたん)したそごうやマイカル…。新生銀が次の標的とするダイエーを「国を挙げても守るべき」と主張する一方、「外資の言いなりで、不況を招いた罪は重い」と、柳沢伯夫・金融担当相や竹中平蔵・経済財政担当相を即刻クビにすべきだと訴える。その真意を尋ねた。
長年、日本企業をウオッチし続ける高杉氏。「現在の日本の不況はここから始まっている」と挙げたのが、平成12年7月の大手デパート、そごうの倒産である。
経営悪化したそごう救済のため、旧日本興業銀行を中心に、取引先の金融機関が債権放棄のスキームを作ったが、新生銀が拒否した。
新生銀は債権が簿価より2割以上劣化した場合、国が買い取る「瑕疵(かし)担保条項」に基づき、預金保険機構(預保)にそごう債権の買い戻し請求を行い、そごうは結果的に倒産に追い込まれた。
その後も、第一ホテルや大手信販のライフ、大手スーパーのマイカルなど新生銀の取引先が次々と破綻していった。
3月に破綻したファーストクレジットの場合、勝手に会社更生法を申請して倒産劇を演じ、預保に1000億円超の債権買い戻しを請求している。
「取引先や関連企業の連鎖倒産を含めて、多くの雇用が失われた。まさに新生銀不況だ」と高杉氏は憤慨する。
実在の企業や人物、経済事件をモデルに、徹底取材に基づく経済小説で名高い高杉氏だが、新著『外資の正体』(光文社刊)で外資系のやり口を実名で告発している。
なかでも、象徴的な存在なのが新生銀で、高杉氏は「その誕生の経緯からして大きな問題があった」と指摘する。
国有化された旧日本長期信用銀行について、当時の金融再生委員会は、米投資銀行のゴールドマン・サックスとアドバイザリー契約を結んだ。
その結果、米投資会社リップルウッド・ホールディングスが中心の投資組合に12年3月、わずか10億円で売却した。悪名高い瑕疵担保条項もこの際に盛り込まれた。
「不良債権処理で国が5兆円もの血税を投じておきながら、利益を出したら売り飛ばして、食い逃げみたいなことをやる外資系ファンドにわずか10億円で買収させたことに大きな問題がある」と高杉氏は言う。
「米国でも通常、瑕疵担保で認められるのは50%まで。100%というのは極めて異例だ。ゴールドマン・サックスとリップルウッドがアンダー・ザ・テーブルで手を握り合っていたとしか思えない」と指摘する。
来年にも株式を再上場すると、1兆円以上の大金が懐に入る。こんなウマイ話でいいのか。
高杉氏は日本の金融当局の責任を断罪する。
「くしくも金融再生委員会の委員長が柳沢さん、事務局長が森さん(昭治・前金融庁長官)。不利な条件をのみ、外資の言いなりになった旧長銀の買収劇は、経済史に残る暴挙として後世まで語り継がれるだろう」
新生銀の経営陣にも、厳しい視線を向ける。
高杉氏は「外資に魂を奪われた確信犯」と評する八城政基社長のほか、槇原稔・三菱商事会長、今井敬・新日鉄会長ら国内財界人が新生銀の非常勤取締役を務めている点を問題視する。
「八城、今井両氏は旧制東京府立一中(現日比谷高校)以来の盟友というが、旧経団連会長まで務めた人が、日本企業の貸し剥がしを進める新生銀の重役にとどまっているとは信じられない」
新生銀が特約を行使して、国に買い取らせた債権は総額6000億円に達するという。来年2月末の期限切れに向け、取り立てに拍車がかかるのは必至で、ダイエーが「最大の標的」なのである。
すでに、優良カード子会社のダイエーオーエムシー(DOMC)向けの融資約200億円が返済されたが、さらにダイエー本体分の700億円強のうち、年内に約7割の500億円の返済も強硬に求めているという。
高杉氏は「ダイエーがそごうやマイカルのようなことにでもなれば、影響は計り知れないほど大きい。日本の不況は一段と厳しくなるのは間違いない」と懸念を示す。
その対策として高杉氏は「まずは(創業者の)中内氏が『全資産をなげうつ』。ダイエー球団の売却も当然」としたうえで、次のように提言する。
「小泉首相がリップルウッドやゴールドマン・サックスに担当大臣を派遣し、新生銀の貸し剥がしをやめるよう説得させる。それでもらちがあかないなら、ブッシュ大統領に直談判すべきだ。そのうえで、預金保険機構を使って新生銀のダイエー向け債権を買い取るべき。国が介在すべき国家的問題だ」
インベストメントバンク(投資銀行)主導で企業のM&A(合併・買収)を重ねて株価をつり上げ、巨額の利益をむさぼる手法は、不正会計疑惑に端を発したエネルギー大手のエンロンや、通信大手のワールドコムの破綻、さらに株価暴落という形で馬脚を現した。
片や米国流の「グローバル・スタンダード」を目指す日本では、新生銀に代表されるドライな手法で企業の淘汰(とうた)が進む一方、新たな雇用は生まれず、デフレ不況が深刻化する。
「外資の言いなりになった柳沢金融相や、ハイリスク・ハイリターンをあおった竹中経財相ら経済閣僚がサラリーマンの心を痛めた罪は重い。小泉首相は彼らを即刻クビにすべきだ。もしできないならば、小泉さん自身が辞めるべき」と高杉氏は語気を強める。
日本経済を憂えたこの直言を、小泉首相はどう受け止めるのか。
★八城政基氏の経歴
1958年 スタンダード・バキューム・オイル日本支社(エッソ石油の前身)に入社
1972年 スタンダード・オイル・ニュージャージー(現エクソン・モービル)会長の特別補佐
1974年 エッソ石油株式会社取締役社長
1989年 シティバンク・エヌ・エイ在日代表
1997年 シティコープ・ジャパン会長
1999年 ニュー・LTCB・パートナーズ代表
2000年 3月より社新生銀行 代表取締役社長
★こんな人に今更「外資に魂を奪われた確信犯」なんて言ったって負け犬の遠吠えですねぇ。だって八代氏はハナからの日本産アメリカ人なんですから。