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首都高速中央環状新宿線の連結路建設工事で、首都高速道路公団が民家などを立ち退かせて買収した東京都内の土地約4600平方メートルがトンネル掘削方法の変更で不要になり、3年以上更地のままとなっていることがわかった。
買収は8年がかりで行われたが、結果的に土地代や補償費計170億円が無駄になった形だ。公団は買収地を転売する意向だが、これまで買い手は現れていない。調査を行った会計検査院は「買収地がこのまま有効活用されなければ問題だ」としている。
中央環状新宿線(全長11キロ)は、池袋、新宿、渋谷を、主に山手通り下のトンネルで結ぶ路線で、2006年度に開通予定。総事業費は1兆1300億円で、公団は中央環状王子線(建設中)などの事業費と合わせて返済するため、都内を走る東京線の通行料金を700円から800円に上げることを検討している。
問題の連結路(計1・6キロ)は1990年に都市計画決定された。渋谷区神山町から東京大学教養学部と住宅地の地下を通り、目黒区大橋の3号渋谷線のループ部にまっすぐつなげる計画だった。
連結路の立て坑部分など、地上に4か所計約6400平方メートルの土地が必要なため、公団は91年から98年まで買収を進め、民家や商業ビルなど計16軒40世帯に立ち退いてもらった。土地取得費に約125億円、移転補償費に約41億円、調査・設計費に4億円を費やした。
これに対し、地盤沈下や大気汚染などを懸念した周辺住民約200人が組織をつくって反対運動を展開。また、公団によると、95年に公団が開発を始めたマルチ・マイクロ・シールド・トンネル(MMST)という新工法が97年に実用化され、3号渋谷線の下を掘り進んでも重みに耐えられるようになったことから、99年4月に都市計画変更を行い、わずか200メートルの連結路を造るだけにした。このため、買収した土地は必要なくなった。
公団は立ち退いた40世帯のうち地主20世帯に対しては、元の土地を買い戻すかどうか意向調査したが、購入希望者はいなかったという。
会計検査院は新工法が実用化された以降も公団が買収を続けた点を特に問題視したが、公団用地部は「すでに買収の約束をしており、すぐにはストップできなかった」と説明している。また、公団計画部は「連結路を短くした分、工事費が280億円安くなり、買収費用170億円を差し引いても損はしていない」と主張しているが、全体の工事費は当初4900億円だったのが、「地盤が予想以上に軟弱だった」(公団計画部)ことなどで、6700億円に増えた。
(8月22日14:30)