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東京証券取引所の上場制度見直しが波紋を広げている。東証の土田正顕社長が20日、明らかにしたものだが、最大のポイントは上場の維持・廃止要件に「時価総額ルール」を盛り込んだこと。時価総額の小さい銘柄は一定の猶予期間内に時価総額を拡大させないと取引所から上場廃止の宣告を受ける。この発表を受けた翌21日、早くも「上場廃止候補銘柄」リストがマーケットに出回った。
●「時価総額」基準導入で危機感
今回の東証の制度見直しで一番の注目点は、「時価総額10億円」という“足切り”の条件が初めて登場したことだ。「時価総額が10億円に満たないことになった場合において、9カ月(事業制度改革等の提出・公表がない場合は3カ月)以内に時価総額が10億円を回復しないときは、上場廃止とする」(発表資料)。
この場合の時価総額は「終値によって算出した平均時価総額又は月末時点の時価総額」を指す。
こうしたルールが設けられのは、業績不振から市場人気がきわめて乏しい上場企業に対して、新たな「市場退出」基準を突きつけることで危機意識の覚醒を図ることがひとつの狙い。そのことが、時価総額を増やすことにつながり、「マーケットの信頼感を高める」(東証)という。
●「目の色が変わる」
時価総額は、「株価×発行済み株式総数」で計算される。株式数そのものは、おいそれと増やすわけにはいかないから、時価総額を膨らませる最大のカギは株価。株価が高くなれば、時価総額は増える。
もちろん、意図的な株価吊り上げは証券取引法上の禁じ手とあって、業績拡大や株式の流動性向上などを目指す「真っ当な対策づくり」が株価上昇にとって不可欠となる。そこが東証の目的でもあるわけだ。
もっとも、大手証券の事業法人担当者によれば、爾時価総額10億円未満の企業の経営者は、そもそも株価への関心が希薄。積極的にマーケットに認知してもらいたいという気持ちがきわめて弱く、上場廃止になっても止むを得ない企業が目に付く」という。
しかし、仮にそうであっても、上場廃止となれば、会社の財産に打撃を与えたという理由から経営責任を問われるのは確実。「呑気な経営者の目の色が間違いなく変わっていく」と外資系証券の幹部は語る。
●ジリ貧か、急騰か・・・
では、時価総額10億円未満の企業を紹介しよう。影響と混乱を避けるためか、東証は一般紙は具体的な社名に触れることはまずないが、20日終値ベースでカウントすると、まず浮上するのが東証1部上場企業では、1962年に上場した古久根建設<1838>。時価総額は9億円強の水準でしかない。
また2部銘柄では大和建設<1829>、東福製粉<2006>、駿河屋<2205>、北日本紡績<3409>、プラス・テク<4219>、大和重工<5610>、赤坂鐵工所<6022>、小島鉄工<6112>、宇野澤組鐵工所<6396>、大江工業<6394>、メルクス<7934>。
今後、これらの銘柄は目配りが欠かせない。株式流動化促進策が打ち出されるなら、場合によっては急騰する可能性もあるからだ。
なお、以前からある上場廃止基準の「債務超過」問題についても猶予期間が従来の3年から2年に短縮された。さらに、今回、第1部上場銘柄から第2部銘柄への「降格」にも時価総額基準を採用。具体的には時価総額20億円未満が9カ月間を過ぎると第2部銘柄に指定替えとなる。
(楠 英司)
・地方証券取引所を震撼〜住友鉱の「上場廃止申請」
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200208/16/20020816103514_18.shtml