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「あこぎな貸し剥(はが)し」のイメージが定着する新生銀行が今度は、預金保険機構(預保)に破綻(はたん)した信販会社「ファーストクレジット」向け債権の買い取りを申請した。自作自演で倒産劇を演じ、買い取り要求額は1000億円強。新生銀は悪評高い「瑕疵(かし)担保条項」をフル活用し、旧長銀以来の株式再上場の野望をもくろむ。だが、国が買い取る原資はまさに国民の血税で、米国流のドライすぎる姿勢に批判が集中している。
「あれはまさに、預保に買い取らせるための自作自演のシナリオだった。ファーストクレジットの幹部が当時、『新生に潰(つぶ)された』と怒っていたが、うなだれた後ろ姿が今も目に焼き付く」(金融担当アナリスト)
メーンバンクが取引先企業の承諾を得ず会社更生法を申請する−。
前代未聞の倒産劇が起きたのが今年3月。ファーストクレジットの頭文字をとって『FCショック』とも呼ばれ、経済界を震撼(しんかん)させたのは記憶に新しい。
このアナリストは憤慨して言う。「会社更生法は本来、企業側が裁判所に申請するもの。それを主力銀行が頭ごなしにやったものだから、新生銀をメーンとする企業は他人事とは思えなかったはず。あそこは企業の命を止めてまで、債権の回収を優先したといえる」
新生銀がファーストクレジットに所有する債権総額は約1260億円。預保に1000億円強の買い取りを求めている。
これがすんなり通れば、預保の買い取り総額は元本ベースで8808億円(7月末現在の買い取りベースは5047億円)となる。
平成12年3月に旧長銀を国から買い取り、新生銀が発足したことを考えると、驚異的なスピードである。これほど債権回収に狂奔するのは一体、何のためなのか。
大きな要因は、債権が3年以内に簿価より2割以上目減り(劣化)した場合、預保に買い取りを申し立てられる「瑕疵担保条項」の特約期限がいよいよ、「来年2月末」と迫っているためだ。
この特権をフル活用して来春メドに再上場する。それが不可能の場合でも、ドライさゆえに、新生銀自体を高値で売却するという仰天計画がより現実味を帯びてくる。
仮に再上場を果たせば、1株450−500円の値段がつくとされる。現在の発行株数33億9100万株と単純に掛け合わせると、実に約1兆5000億円にもなる。
米投資会社リップルウッドが旧長銀をわずか約10億円で買い取ったことを考えると、「ぬれ手にアワ」で、1兆円規模の大金が転がり込む。
まさにボロ儲(もう)け。別の金融アナリストが背景を解説する。
「再上場に際し、貸出債権に占める不良債権の比率を是が非でも下げたいのだ。財務状況が悪化し、米びつが空っぽに近い大手銀行グループでさえ8−9%なのに、新生は15−20%。リップルウッドが売却に方向転換するにも3−5%までもっていかないと、買い手がつかない」
新生銀による強引な債権回収が破綻の引き金となったケースは、12年5月の大手信販会社ライフ(債権放棄要請拒否)▽同年7月のそごう(同)▽13年9月のマイカル(貸し剥がし)ーなど枚挙にいとまがない。
新生銀によるダイエーグループの債権回収では先月、優良のカード子会社「ダイエーオーエムシー」(DOMC)が約200億円の融資金を一括返済している。
経営再建に苦悩するダイエー本体に対しても、所有する債権総額約700億円のうち約500億円を「年内に返還せよ」と強引に迫っている。
UFJなど主力3行が債務の一部肩代わりを検討しているが、7月の中元商戦もいまひとつだったダイエーの「存亡の危機」が叫ばれている。
「企業として債権を回収するのは当然だが、あのやり口はドライのひと言ではすまされない。やりたい放題ではないか。マチ金融と同じ借金取りだ」(流通関係者)
「いくら特約を結んだといっても、金融当局はあまりに弱腰。我々だったら、マスコミに叩かれる。下手すると、金融不安を招く。きちんと監督して、行政指導すべきだ」(都市銀行幹部)
経済界だけでなく、高まる社会的批判を尻目に、新生銀の「破綻させても回収する貪欲(どんよく)な姿勢」は変わらない。それどころか、回収に拍車がかかる。
顧客が聞いたら「怒り心頭」な話で、新生銀内では、債権回収の成功を『ホームラン』と呼んでいるという。
こんな本塁打王だけは願い下げで、市場では「金融業界から退場しろ」との声も出ている。