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万病、難病に効く万能薬がある。1400兆円に及ぶ個人金融資産である。これさえ動けば長期デフレも不良債権も、財政赤字もバブル崩壊後の最安値にある株価も持ち合い株式の解消売りなどの大病、死病も、すべて全快となる。そこで8月6日に金融庁が発表した証券市場活性化策でも、銀行と証券会社の共同店舗化など、アノ手コノ手の個人金融資産の市場への呼び込み策が盛り込まれた。
ところがどうも「笛吹けど踊らず」の結果になりそうなのだ。しかも、それを浮き彫りにしたのが、皮肉にも当の政策当局(内閣府)の世論調査だったのである。調査対象の82.7%が株式投資を行うつもりはないと回答する結果となっていたからだ。まるで「マッチ・ポンプ」のチグハグなこのような動きに、当然兜町からは「焼け石に水」と不満のブーイングが上がっている。同調査からは、株式市場に対する不信感いっぱいの個人投資家の姿がクローズアップされ、夏相場に続き秋相場も援軍は期待できそうもないのである。
●「株式投資を行うつもりはない」がなんと82.7%!!
同調査に関係者の間でまず上がったブーイングは、なぜこのタイミングでの発表かとするものである。調査結果が株価、株式市場、証券会社のいずれについても不信感を明らかにし、その調査結果の発表が資産運用の場として証券投資への忌避をより助長しかねかねないからである。現在の株式市場は、売り手ばかりで極度の買い手不足状態にある。
事業法人、金融法人とも持ち合い株の解消売り一方で、外国人投資家も、米国株価の急落で換金売りを余儀なくされ売り越し基調にある。こうした売り物を吸収するラストリゾートとして期待されるのが個人投資家であり、その金融資産は1400兆円にも達する。この金融資産がリストを取って株式市場へ流入すれば、間接金融から直接金融への転換、ベンチャービジネスへのリスクマネーの供給など経済構造改革、経済の再活性化さえ促すことになる。
だから金融庁の証券市場活性化策でも、銀行窓口での株式取引の促進など個人投資家の呼び込み策が多数盛り込まれた。ところが8月3日に発表された世論調査では(1)82.7%が株式投資を行うつもりはない(2)その「理由」は全体の32.5%が損失が発生するリスクがある(3)59.8%が個人投資家はプロの投資家と比べて不利(4)22.6%が企業は特定の証券会社や機関投資家などプロの投資家に会社の情報を詳しく伝えている(5)42.9%が証券会社は信頼できるとは思わない―などがデータとして盛り込まれ、活性化策には冷や水を浴びせる結果となってしまった。これではまるで「マッチ・ポンプ」であり、「もう少し発表のタイミングを考えろ」とブーイングが飛び出すのも当然と言えよう。
●昨年度、今年4月に続き空振り三振
証券界では、これまでも2000〜2001年度の106兆円の定額郵貯の満期償還、今年4月の定期性預金のペイオフ解禁でも、効率運用を求めるニューマネーの流入を期待した。ところがことごとく空振りに終わる結果となっている。その根底に今回のデータのような投資家の不信感が根強くあるとすれば、当時にくらべてさらに株価の下落リスクを強めているこの夏相場や秋相場は、今回の証券市場活性化政策程度では株式需給動向がより厳しい。またしても「空振り三振」ことだって、十二分に予想されるのである。
(相馬 太郎)
・「信用取引規制」は株価急落を招く〜機関投資家の不満爆発
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200208/09/20020809104005_22.shtml