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米株式市場は企業の発表する数字をまったく信用できない様子、一向に下げ止まりません。そんな中、著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏が遂に動きました。これが相場の転機になるか!?
■ ついにNYダウも8,000ドル台に逆戻り
会計不信は止まるところを知りません。市場は、企業の発表する数字をまったく信用できなくなってしまったようです。もはや、企業の粉飾決算の記事が米国の新聞に載らない日はありません。NYダウ平均はついに昨年10月以来の8,000ドル台に逆戻りです。16日(火)の終値は8,473ドルで、独立記念日明けの5日(金)から10%近くも下がってしまいました。
■ 個人消費に陰り?
この足下の急速な下げには会計不信以外の要素も働いています。12日(金)に発表された「ミシガン大学消費者マインド指数」が予想を大幅に下回ったのです。この指数は、文字どおり米国の消費者がどれだけ購買意欲があるかを表す指数ですが、この数字が昨年11月の水準にまで急低下したのです。
この急落は、その前週5日(金)に発表された雇用統計が芳しくなかったことや、11日(木)に発表された新規失業保険申請件数が予想より多かったこと等と結びつき、「企業のリストラが米国の消費を押し下げる」というシナリオを産みました。米国の景気が昨年からまがりなりにもなんとか底割れを回避してきたのは、企業部門の不信を旺盛な消費がカバーしてきたからですが、今後は企業に加えて家計もとうとう息切れしてしまうのではないかという懸念が台頭し始めたのです。
■ グリーンスパンは弱気ではない!
このような株式市場の大崩れの環境下、米議会では16日(火)グリーンスパンFRB議長の議会証言がありました。内容はかいつまんでいえば次の通りです。
「米国経済は持続的回復に復帰する方向にあり」、「インフレ圧力が高まる可能性は低い」。また、「最近の株安という困難はやや長引くだろうが」、「企業の不正行為は既に過去の話であり、近い将来そのような企てが再び実施される可能性は大幅に減った」。
筆者はその全てに賛成します。私の見方は、足下の株式市場の急落はほとんど企業会計に対する不信という、すでに「バブル崩壊の結果明らかになった過去の話」を蒸し返し、企業会計の全てが信用できないかのように株式を売るという行動の結果です。景気動向や将来の利益見通しはほとんど重視されていません。
事実、今回の強気な内容は市場にほとんど無視されてしまいました。市場は「何か悪いことはないか?あったら売りだ!」というムードです。好材料にはまったく反応せず、悪材料のみに過敏に反応しています。
■ 企業部門は予想以上に堅調続く
個人部門には陰りが見えるようですが、企業部門は実は堅調が続いています。鉱工業生産は予想以上の伸びを見せていますし、企業の在庫も出荷の伸びに生産が追いつかない状況が続いています。これらの良い数字も市場には無視されてしまいました。
筆者は個人消費についても減速しているのかどうか怪しいと考えています。というのも、消費者マインド指数は株式市場の先行指標というよりもどちらかというと遅行指数のように見えるからです。つまり、株式市場が上げれば景況感とともに消費マインドも改善する、逆に下げれば消費マインドは悪化するという、しごく常識的な動きをしているように見えるのです。
筆者には「会計不信」も「消費マインドの悪化」もどちらも「株式市場下落の結果」であり「原因」ではないと考えています。では「原因」は何なのでしょうか?
話は変わりますが、先週、世界を代表する投資家であるウォーレン・バフェット氏が米国光通信サービス企業である「レベル3・コミュニケーションズ」の転換社債を数百億円購入することを発表しました。同社の株式もバブルのピークの数%で取引されていますが、発表後は一日で50%上昇しました。ウオーレン・バフェット氏はITバブルの渦中「理解できない会社には投資しない」という方針を貫き、インターネットや通信などへの投資を避けてきました。その彼が買ったというのですからこれはインパクトがあります。後で振り返ってみたらあれが相場の一大転機になっていた...そんなことになるのではないかと考えています。
提供:株式会社FP総研