★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
分析「日本の政治を読む」〜一抹の不安残る“小泉改革のまた来た道”[PAXNet] 2002/07/22 09:12:00 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 7 月 22 日 11:09:20:

●支持率アップで反転攻勢か

19日発表された7月の時事世論調査によると、小泉内閣の支持率が前月比9ポイント上昇し、43%と40%台を回復したことが明らかになった。道路関係四公団民営化推進委員会の委員に急進派の作家、猪瀬直樹氏を起用するなどの改革への取り組み姿勢が改めて評価されたものとみられ、1月末の田中真紀子前外相の更迭以来、低下する一方だった支持率にようやく歯止めがかかった形だ。他の同種調査でもほぼ同様の結果が出ており、これに味をしめた小泉純一郎首相は今後、たとえポピュリスト(大衆迎合主義者)との批判を浴びても“抵抗勢力”との妥協は断固拒否する路線を強化、これまでやや停滞気味だった構造改革実現に再びまい進するものとみられる。

●人事権行使で人心収らん狙う

首相がこのところ、政治家や官僚の人心収らん術の道具としているのが「人事」と「予算」。人事面では、9月にも予想される内閣改造について、月刊誌「中央公論」のインタビューに答え、「小泉改革に協力する者を閣僚に起用する」方針を既に表明。さらに19日の閣僚懇談会では片山虎之助総務相ら7閣僚に具体的項目を挙げ、8月末までに改革案を考えるよう“宿題”を命じ、暗にこれに応じない閣僚は再起用しない方針を示した。官僚に対しても、日本道路公団など特殊法人の総裁や理事長などのトップ人事に首相官邸が直接関与する方針を打ち出す一方、退任予定だった武藤敏郎財務事務次官や尾崎護国民生活金融公庫総裁の留任を決めるなど、キャリア官僚の早期勧奨退職慣行の見直しにも着手した。いずれも人事権の行使による求心力確保に狙いがあるものとみられる。

●予算見直しの「黒幕」は誰か

予算面では、先に触れた7閣僚に対し、公共事業長期計画の見直し、義務教育国庫負担金制度の見直しなどについて8月末の経済財政諮問会議に具体案を報告するよう指示。特に公共事業長期計画については、2002年度から03年度にかけて計画が終了する道路、空港、治水など9計画を統合・廃止によって5計画以下にする方針を表明。さらに改革の留意点について(1)官から民へ(2)国の関与縮小と地方の自立(3)府省間の重複排除―を強調した。
こうした首相の指示について専門家の間では「これまでにない素晴らしい考え」と高く評価する声がある一方、「歳出削減が最優先の財務省の言っていることをそのまま言っているだけ」(自民党幹部)と反発する向きも多い。確かに、サラリーマン医療費の自己負担増が柱の健康保険法改正案を含め、財務省による財政最建路線が支配力を増していることへの警戒感も高まっている。特に、日本経済がようやく上向き始めていた1997年春、財政構造改革法や特別減税打ち切り、医療費自己負担増で総計9兆円の自己負担増が実施され、その結果、景気回復が失速。その責任者の橋本龍太郎元首相も翌年夏の参院選で敗北し、退陣に追い込まれた“故事”と二重写しに見る関係者も多い。
現在の景気回復傾向が米国向け輸出の増加と円安のおかげだったことを考えると、米国の企業会計不正事件に端を発した世界同時株安とドル安、さらには米国のバブルが弾けることによる日本経済への悪影響が懸念されている。そんな時にまたもや財務省の口車に乗って財政最建と自己負担増路線を突っ走り、果たして景気に冷水を浴びせ掛けること可能性.はないのか。普段、「経済の勉強などしない」と公言する首相が突然持ち出した公共事業見直しなどのアイデアだけに、一体だれが「黒幕」なのか、一抹の不安が残る。

●川口外相の外交理念に疑問

外務省経済協力局長に経済産業省から人を持ってくる人事についての懸念は前回触れたばかりだが、その途端に外務省の「抵抗」が止み、「受け入れ」が既定事実のようになったのは一体どういうことなのだろうか。この人事について外務省幹部は「日本外交の唯一の武器である経済協力の在り方を根本的に変えてしまう」と反対、辞表提出も辞さないとしていたあの勢いはどこへいってしまったのか。私は今でも政府開発援助(ODA)を所管する経協局長を企業との結びつきが強い経産省が取れば、日本外交が変質してしまうと考える。ODAは軍事力が使えない日本にとって「切り札」であり、日本が力を入れる軍縮や対テロ対策などでも「最後のカード」を失うことにつながりかねない。それが分かっていながら、なぜ抵抗を止めたのか。
この人事については首相官邸の強い支持があるとされているが、そもそも自分の出身省の人間を充てようとする川口順子外相の考えがよく理解できない。ODA改革を真に願うなら、痛くもない腹を探られないよう、自分の後輩などは普通持ってこないものである。これではどんな優秀な人間であっても仕事がしにくかろう。外務省以外からというなら他の省あるいは民間からの起用を検討すべきだった。外相はODA予算についての委員会答弁について、ある時は「これまで以上に増額すべきである」と述べたかと思えば、首相に一喝されたら途端に「削減」の方針に賛意を示すなど方針が一貫していない。自民党などが提唱している「経済協力庁」(仮称)の創設についても賛成したり、慎重意見を述べたりとふらついている。
ずばり言えば、要するに外交に対する理念、哲学というものを持ち合わせていないのではないか。何かと言えば「田中真紀子前外相と私は別」と、多分に前外相を意識した発言を繰り返すが、今、川口外相に求められていることはそんなことではない。外務省改革を進めるのは当然のことだ。しかし、5000人を超える組織を本当に変えようと思ったら、彼らが心から外相の方針に賛同し、協力することが不可欠だ。突っ張って、外務省員を驚かせることが改革ではない。同省内の一部でささやかれている「大臣は04年の参院選に出るため、外務省を踏み台にしようとしている」との噂があくまでも“噂”であることを祈りたい。

●田中前知事は脱ダム代替案の実証を

田中康夫前長野県知事はやはり失職〜再出馬の道を選択した。これに対し、県議会各会派による対抗馬擁立は難航しており、9月1日には田中氏が再選される可能性が高い。それにしても、失職とは突き付けられた不信任決議の内容を認めることであり、その上で再出馬というのは法律の想定外のことだ。自分の主張が正しいというのなら、自らの政策に反対する議会を解散するのが常道であり、失職〜再選は「単なる選挙戦術」との批判は免れない。でなければ、知事に返り咲いても、最悪の場合、議会の構成が同じなら、再び不信任〜失職〜選挙ということを繰り返す懸念がある。
また前回も触れたが、田中氏の「脱ダム宣言」はやはり代替案を示さなければ、県民への責任を果たしたことにはならない。県知事の仕事は単なる理念ではなく、実践なのだから、同氏が当選以来1年8カ月の間に当然代替案の提示と県民への説明が必要だった。例えば脱ダムの先輩である鳥取県の片山善博知事はダム建設よりも河川改修の方が約200億円も経費が節約でき、治水面で効果が変わらないことを証明してみせた。田中氏もダム建設の代わりに河川改修や遊水池の造成で肩代わりできるのなら、それを実証してみせなければならない。知事のポストとは「パフォーマンス実験場」ではなく、「政策実行の場」である。
(政治アナリスト 北 光一)

 次へ  前へ



フォローアップ:



 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。