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「秋田県下を営業地盤とする北都銀行と山形県下を営業地盤とする山形しあわせ銀行が、県境を越えた経営統合に向けて水面下で合併交渉をスタートさせたもようだ…」
金融庁幹部がこう言ってみせる。
筆者は現在、この情報の真偽を確認するため、東北地方を取材に訪れている。
そもそも地銀、第二地銀といった地域銀行に関していえば、金融庁はその前身の金融監督庁時代から“1県2行体制”という構想を持っており、以下に示すようにこれまでその構想を着実に実現してきたといっていいだろう。
これまで“1県2行体制”の実現に向けて、地域銀行合併・再編が進められてきた地域は、茨城(関東銀とつくば銀)、広島(広島総合銀とせとうち銀)、長崎(親和銀と九州銀)、福岡(西日本銀と福岡シティ銀)といったところ。
「そうした状況の中で、県下に4つの地域銀行を抱える山形県は、金融庁にとって最大の懸案地域となっているといっていいでしょう」(金融庁幹部)
このコメントにもあるように、山形県下には、山形銀、荘内銀、殖産銀、山形しあわせ銀と4行もの地域銀行が林立しているのが実情だ。
「山形県下の地域銀行に関していえば、これまで幾度となく、しかも複数パターンの組み合わせで経営統合交渉が行われ、その度ごとに労働組合や取引先の反対にあい、交渉は途中で頓挫してきた経緯があるのです。こうした過去の経緯から考えると、各銀行が経営統合に向けて再度交渉のテーブルにつくことは、なかなか難しいというのが実情でしょう」(山形県下に本店を置く地域銀行首脳)
そして、こうした状況の中で浮上してきたのが、県境を越えた経営統合だといえよう。
コラム冒頭のコメントに登場する北都銀行は、秋田市に本店を置く地銀で6月末の預金量は1兆1678億円(月中平残ベース)。
一方の山形しあわせ銀行は、山形市に本店を置く第二地銀で6月末の預金量は5921億円(月中平残ベース)。
「秋田県下では、北都銀行にとっては最大の難敵とも言える、預金量2兆円を誇る有力地銀、秋田銀行が絶対的な影響力を行使しているのです。その秋田銀行は、ATMの相互無料解放などの業務提携を青森銀行、岩手銀行との間で締結し、“北東北連合”を形成しています。この青森銀行も岩手銀行も、秋田銀行と同様に各県のリーディングバンクですから、北東北地区における三派連合のプレゼンスは非常に大きなものがある。こうした状況の中においては、北都銀行はまさにジリ貧状態に陥っていたのです」(東北地区に本店を置く地域銀行首脳)
一方の山形しあわせ銀行は、山形県下に本店を置く4つの地域銀行の中で、預金量の面で最下位に位置し、その規模の面で見劣りする銀行だ。
「そうした点で、北都銀行と山形しあわせ銀行の経営統合は、“弱者連合”という側面はあるにしても絶妙の組み合わせだ。さらに、県というワク組みを越えた“広域地銀”化を指向する、という点でも大きく評価できるのではないか」(前述同)
こうした両行の動きを受けて、秋田銀行サイドでは経営統合が実現した場合の影響力を探るため、ここへきてシミュレーションを開始したもようだ。
「この経営統合が実現すれば、東北地区の地域銀行の合併・再編は一気に加速する可能性が高い」(金融庁幹部)
今後、東北地区の地域銀行の動向には要注意だ。