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「仮にすべての金融機関が“新型決済用預金”の導入を図ったとしても、そのことによってすべての問題がクリアになるわけではない。むしろ、何の問題解決にもつながらないのではないか、というのが大方の金融機関の見方だ−−」
大手都銀首脳がこう言ってみせる。
金融庁はここへ来て、来年4月1日に予定されている“ペイオフ完全解禁”とワンパッケージの形でその導入が確実視されている“新型決済用預金”に関して、すべての金融機関で一斉にスタートさせる方針を固めた。
その導入に関して金融庁が選択方式ではなく、“全金融機関一斉導入方式”を採用した最大の理由は、「新型預金を導入する銀行は経営上何らかの問題を抱えている銀行、というイメージが預金者サイドに広がることを防ぐため−−」(金融庁幹部)としている。
そもそも金融庁サイドがここへ来てそうした方針を打ち出して来た背景には、大手銀行−−特に都銀、地銀等−−の中に新型預金の導入に関して消極的なスタンスを見せる銀行が出てきたということがある。
前述の大手都銀首脳が言う。
「そもそも当行では、ペイオフ解禁に伴う預金流出という事態は全く発生していない。むしろ預金が集まりすぎて困っているほどだ。こうした傾向にあるのは何も当行に限ったことではない。大部分の大手行でも同様の状況にあるのが実情だ」
とはいえ、今年4月1日の“ペイオフ部分解禁”を受けて大手行といえども定期性預金から普通預金等の流動性預金へのシフトが急速に進んでいるはずだが……。
「その辺にも大きな誤解がある。確かに、預金全体で見た場合、流動性預金比率が上昇していることは間違いない。しかしこれは、定期性預金からシフトしてきたものではない。その主体は、銀行の窓口で販売した投信−−特にMMFの大量解約によって生じた資金だ。そうした資金が、一時的に普通預金口座等に滞留しているにすぎない。その辺の事情を金融庁は見誤っている」(前述の大手都銀首脳)
そうは言っても、中小金融機関−−第二地銀、信金、信組の中には、ペイオフ解禁の影響を受け、預金の大量流出に見舞われるところが続出していることもまた事実。
しかし、預貸率(「預金」分の「貸出金」)が90%を超え、資金繰りの面で“危険水域”に達している金融機関は、東北地区に本店を置く第二地銀、甲信越地区に本店を置く信組のわずか2つにすぎない。
今年、5月末段階で預貸率88%と“危険水域”に達しつつあった角館信金(本店・秋田県)は6月24日付で秋田ふれあい信金(同)と合併したことで、新信金の預貸率は70%を切る水準にまで低下し、とりあえず、資金繰り面での危機は回避されている。
「この救済合併劇は、金融庁の強い意向が働いたために実現したもの。そもそも角館信金の預金量は160億円程度にすぎず、これまで経営的にジリ貧状態が続いていた。そうした点で淘汰の対象になったのも当然と言えよう」(秋田県内の銀行関係者)
そして前述した2つの金融機関を除けば、仮に全体の10%を超える預金の流出が発生したとしても、そのことで経営破たんに追い込まれる金融機関は発生しないだろう、というのが大方の見方だ。
「莫大な経費を使って“新型預金”を導入するよりも、問題金融機関の処理を進める方がスジというもの」(大手都銀首脳)
ここは金融庁には、ぜひとも“再考”を促したい。