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経済産業省は17日、中小企業向けの信用保証制度を支える中小企業総合事業団の再保険原資が今年度末にも枯渇するため、同事業団の別基金7500億円を流用して保険金支払いに充てる方針を明らかにした。政府は98〜01年、金融機関の貸し渋り対策として「特別保証制度」を実施したが、審査が緩かったこともあって企業倒産の増加で保険金支払いが急増した。景気の先行き次第では新たな国費投入が必要になる可能性もある。
信用保証制度は信用力の乏しい中小零細企業が金融機関から融資を受ける際、全国52の信用保証協会が債務を保証する制度。企業が返済できない場合は各協会が金融機関に代位弁済。その損失は、各協会が保険料を支払っていた中小企業総合事業団の「信用保険準備基金」から保険金を受け取って穴埋めする。
信用保証協会による年間の代位弁済額は、特別保証制度導入後に急増し、01年度は1兆2349億円に達した。事業団の保険金支払いも膨らみ、01年度の保険収支は5795億円の赤字になり、準備基金の残高は今年6月末で6030億円となってしまった。
一方、特別保証制度の残高は今年5月末でなお10兆7000億円近くあり、今年度も保険金支払いは前年比1割増のペースで続いている。特別保証制度の発足に伴い、政府は1兆1600億円の資金枠を準備したが、すでに1兆円近くが実施済みで、今年度、来年度の保険収支の赤字(各6000億円前後の見込み)には到底足りない。
このため経産省は、同事業団が別に管理する信用保証協会向けの融資基金約7500億円を一時的に流用して急場をしのぐ方針。中小企業庁は、代位弁済額が来年度でピークを超える見通しのため、資金繰りは「なんとか持ちこたえる」とみているが、景気回復の遅れで企業倒産が減る気配はなく、「最終的に追加財政支出が必要になる可能性もある」(同庁)。
ただ国の厳しい財政事情から大幅な国費の追加は望めない状況。このため、経産省は来年度以降、中小企業から徴収する保証料の引き上げや保険カバー率の引き下げなど信用保証制度の改革も併せて実施する方針だ。【三島健二】