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会計疑惑で揺れ動く米国株式市場。17日には東京市場でソニー<6758>が香港紙の「不正経理」報道を材料に一時、今年の最安値まで売り込まれる事態となった。ソニーは、この報道についてただちに全面否定した。この香港紙、調べてみると「15日付」の報道で、いわば相場材料としては“旧聞”に属するもの。伝えられている内容についてもソニーはただちに全面否定した。
●透けてみえる「手の内」
「とうとう、売り方はソニーまで標的にしてきた」―ある大手証券の幹部はこう語る。売り屋の仕業（しわざ）による演出、というのが同氏の推測だ。
売り崩しの材料となるものなら、その真偽にかかわらず巧妙、機敏に活用し、マーケットを揺さぶっていく。外資系証券による先物を使った「指数操縦」で激しく売り叩かれた1990年代前半のバブル崩壊相場でも、今回のようなケースは頻発し、株価を押し下げるために、悪材料を流す出処不明のFAX情報やニセ電話が横行した。
だが、こうした違法な相場操縦が効果を発揮するのは、通常、ごく短期だ。先物やオプションの仕組みの上辺だけしか知らず、米国系の証券会社に「したい放題」にされた1990年代の日本の証券市場は、その売り崩しの画策が長期に及んだ。
しかし、すでにバブル崩壊から12年を経過。最も数多くの修羅場をくぐり向けた「激動相場の先進国」といえる日本のマーケットに、こうした「売り屋の横行」は通用しない。経験の積み重ねから、売り方の“手の内”が透けて見えるようになったからだ。
●転機が接近
その経験則からいうと、ソニーをはじめ、下げ続けてきた主力ハイテク株も転機は、すぐそこに迫っている。買い方の投げ（損切り）続出で形成された暴落相場が、一転、売り方の買い戻しによって反騰相場に火がつく可能性が高まってきた。
ニューヨーク株式市場も、短期的には転機到来の様相だ。16日に発表された6月分の米鉱工業生産指数は、事前のマーケットの平均予測を大きく上回る前月比0.8％増を達成。しかも5月の数字が今回、0.2％増から0.4％増に改定された。今年に入って、この指数は6カ月連続で増加し、設備稼働率も76.1％。テロ前の水準（2001年8月の76.4％）まで、あと一歩のところまで回復してきた。
もっとも、その一方で「財政悪化につながるドル安を問題にするグリーンスパンFRB議長と、むしろドル安歓迎とも受け取れるブッシュ政権との対立が今後、大きくなるかもしれない」（大和総研・経済調査部）との指摘もあり、不正経理問題とも合わせ、気になる材料だ。
ただ、景気・企業収益の状況をみる限り、米株式相場は売り叩かれたあとのリバウンド局面に入る可能性が強い。
●注目の「3巨頭」
そうなれば、日本のハイテク株や輸出型の優良企業にとってはもちろんプラス材料に働く。その際、近く発表される2002年度第1・四半期（4〜6月期）決算の「予想以上に好調な中身」（準大手証券エクィティ調査部）が再び脚光を浴びることになるだろう。当面、予定されている主力企業の決算発表スケジュールは以下のとおり。
・7月22日＝HOYA<7741>、日東電工<6988>・25日＝ソニー<6758>、NEC<6701>・26日＝富士通<6702>、野村ホールディングス<8604>・29日＝ホンダ<7267>・30日＝日立<6501>、東芝<6502>、三菱電機<6503>、松下通信<6781>、オリックス<8591>・31日＝富士写真<4901>、アンリツ<6754>、三洋電機<6764>、パイオニア<6773>、松下電器<6752>、シャープ<6753>
・8月1日＝TDK<6762>、リコー<7752>・2日＝東エレク<8035>・7日＝トヨタ<7203>
全体相場に与える影響力からみて、ソニー、ホンダ、トヨタの「3巨頭」が注目株だ
（楠 英司）
・NY安に怯えるな！〜日本株攻略「3つの切り口」
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200207/11/20020711095011_34.shtml
・「弱気相場の役割終わる」〜P・タスカ氏が宣言
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200207/05/20020705103007_96.shtml
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。