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「−政治、行政、企業、メディア、そして国民が互いに他者の非をあげつらうより、自らの責任を果たしつつ、日本社会が一体となって変革に突き進んで行かねば将来は無いと思われます。新任地に行きましても、行政は国民の為にあるという原点を忘れず、色々な方々の意見を聞かせて頂くと共に、私たちの考えも率直に説明していきたいと思っています−後略」
財務省の大村雅基前大臣官房参事官から自身の転任を伝える手紙が届いた。本稿冒頭ではその手紙の一部を紹介させていただいた。
大村氏は、この7月9日付で近畿財務局長に転出することになったのだ。
当コラムの読者の中には、なぜ一財務官僚の転勤をわざわざ当コラムで報じる必要があるのかとお考えの向きもあることと思う。
実は、それには明確な理由、意味がある。
それというのも、大村新近畿財務局長が前職である大臣官房参事官に就任したことで、財務省の−旧大蔵省時代も含めて−“広報戦略”が一変してしまったからだ。
大村新局長は、積極的な形で対外的に情報発信に動いた、と言っていいだろう。
「財務省として言うべきことは言い、あるいは明らかにすべき情報は明らかにし、その上で国民の判断を仰ぐ−」
大村新局長は、かつて筆者にこう言ったことがある。そして、発言するだけではなく、スローテンポではあるが、それを実践に移していったのだ。
例えば、ムーディーズ社などの欧米系格付け会社が今年5月、一斉に日本国債の格下げに動いた際にも、大村新局長が前面に立つ形で財務省は“反撃”に動いたのである。各有力メディアで、この一件に関して発言する大村新局長の名をご記憶の読者も多いのではないだろうか。
そしてその際には、大村新局長には当コラムにも登場いただき、一連の格下げがいかに根拠を欠くものであるか、熱弁を振るっていただいた。
こうした“対応”は、これまでの財務省ではとても考えられないことだ。
「それだけこの問題では、財務省が追い詰められていたということ−」
したり顔でこう指摘するマスコミ関係者も少なくないが、筆者としては、大村新局長−というよりも財務省のスタンスを評価したい。
「“財務省vs格付け会社”の攻防も、マーケットの反応を見る限り、財務省に軍配が上がったと言っていいだろう」
大手都銀首脳がこう言ってみせるが、筆者自身もそうした見方に全面的に賛成だ。
「−財政のみならず、経済、政治、社会、教育等、様々な分野で、今、変革を成し遂げられるかどうかが、今後の日本の運命を決めるというのは異論のないところと思います−後略−」
前述した手紙の中で、こう語ってみせる大村新局長であるが、“変革”という名の改革に対して、財務省がどのようなスタンスで臨んでいるかが、透けて見えてくるのではないだろうか。
とりあえず、新任地に転出した大村新局長にエールを送っておくことにする。
2002/7/16