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中国の国有企業と投資会社が、昨年3月に倒産した日本の中堅印刷機メーカーの営業権を買収し、事業拡大を目指している。中国本土では開発・生産しにくい高機能機種を世界に売り込むのが目的だ。中国系企業が日本の中小企業の高い技術力に投資するケースは、今後も増えそうだ。
中国の大手発電設備メーカーの上海電気集団(SEC)と投資会社のモーニングサイド(MS)は、民事再生法の適用を申請したアキヤマ印刷機製造(東京・葛飾)の営業権を買収。今年2月、茨城県内の工場や生産設備、知的所有権などを引き継ぐ新会社、アキヤマインターナショナル(資本金4億8000万円)を設立した。
SECとMSは合弁で中国国内に印刷機メーカーを保有しており、紙を反転させないで表裏を多色刷りできる両面印刷機を生産・販売していたアキヤマに投資価値を見いだした。
買収金額は「秘密保持契約があり、公表できない」が、「新社の資本金や設備の改修などで2500万米ドルを投入する」とMSは説明している。倒産後解雇された160人の社員も、新社の生産態勢が回復するのに合わせて再雇用されるなどして、120人体制に戻ったという。
国内印刷機業界には「技術を中国に移転し、そこで生産した製品を日本に輸出してくるのではないか」との懸念もある。だが、SECの陳大雄・商務部副部長は「ここには一番優秀な人材や生産設備がある。引き続き最新機を開発し、世界中に販売したい」と意欲的だ。3年以内に新社の売上高を70億円とし、長期的には、アキヤマの約30年の歴史で最高の91年度の売上高約150億円を上回る目標も立てた。
「輸出産業の花形」だった日本のオーディオメーカーが経営不振となり、香港資本に買収された例は多いが、経営再建に成功した企業はあまり見当たらない。中国国有企業の傘下で、日本の企業の事業や雇用がどうなるのか、関係者の関心は高い。【松田真】