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政府は11日の月例経済報告で、景気判断を2カ月ぶりに上方修正したが、「実態を無視した“インチキ”判断」(エコノミスト)との声しきりだ。しかも、企業業績回復の「切り札」である米国経済は、不正会計疑惑をきっかけに株安、ドル安の「米国売り」が続き、泥沼にはまり込んだまま。日本国内も、失業率は依然高止まりしており、とても個人消費が回復する状況とはいえない。「上方修正」のウソ、日本経済総崩れの景色がそこかしこに見えている。
月例経済報告では、上方修正の理由として、(1)輸出の大幅増加による企業の生産回復と、それに伴う設備投資の下げ止まり(2)個人消費の底堅さ−を挙げる。
つまり輸出主導で景気が上向くというシナリオだが、頼みの米国経済は、どん底状態。大手企業の不正会計疑惑や業績水増しが次々発覚し、これらをきっかけに株安、ドル売りが一気に進んでいる。消費者心理も冷え込んでおり、「先月6月ごろから、米国やアジア向けのパソコンや携帯電話販売の勢いが鈍っている」(業界関係者)と、輸出先として期待できる状態ではないのだ。
ドル安はさらに、日本の輸出企業の利益も圧縮する。11日にはNY市場で一時、116円台まで円高ドル安が進んだが、1円円高が進むごとに、ホンダが約100億円、ソニーが約80億円もの営業利益を失う計算になる。輸出増が期待できない中で、企業にとっては大きな痛手だ。とてもこの先設備投資が増加する状況とは言えず、それを裏付けるかのように、6月の日銀の企業短期経済観測調査(短観)では、今年度の設備投資計画は減少を見込んでおり、減少幅は3月時点よりも大きくなっている。
輸出がダメなら国内で−とはいかないのが、今の日本。5月の完全失業率は前月比0.2%上昇、夏のボーナスも各企業軒並み減と、雇用、所得とも最悪の状態が続く。個人消費回復の足取りは鈍い。夏本番を前に大手エアコン商戦真っただ中だが、電機業界関係者は、「業界全体の出荷台数の見通しは、平年より3−5%少ない660万から680万台」(電機業界関係者)と渋い表情。自動車も、好調な海外販売と対照的に国内販売は低迷中。6月は、乗用車が3.3%減(前年同月比)、トラックが25.8%減(同)と大きく落ち込んだ。
輸出がダメ、国内消費も低迷という中、5月の景気底入れ宣言に続く今回の上方修正に、「楽観的過ぎる。景気の現状はほぼ横ばい」(民間エコノミスト)との声も強い。今回の政府の判断は、「追加デフレ対策を求める与党の動きを牽制(けんせい)するという意図がある」(市場関係者)との見方もあるのだが、実態を取り繕い続け抜本的な景気対策を先送りしていれば、いずれ大きなしっぺ返しを食らうことになる。