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「いくら何でも早すぎる。一連の報道はまさにフライングもいいところ。当行が、持ち株会社の設立に向けてその検討を開始したことは事実だが、その検討もまだスタートしたばかり。現実問題として、まだ何も決まっていない−−」
三井住友銀行の経営中枢幹部が憮然とした口調でこう言ってみせる。
昨日(7月11日)午後、“ビッグ4”の中で唯一、企業形態として金融持ち株会社方式をとっていない三井住友銀行がいよいよその設立に向けて動き出した、とする一部報道が流れた。
筆者をはじめとする金融マスコミは、この報道を受けてあわててその事実確認に走るのだが、不思議なことに三井住友銀行サイドは冒頭のコメントに代表されるように極めて冷淡な対応に終始していたのが実情だ。
「この件に関して近々、記者会見を開く予定は全くない。つまり、現状では記者会見を開けるようなレベルにはまだまったく達していないということだ」(前述の三井住友銀行経営中枢幹部)
なぜ、報道と当事者である三井住友銀行の対応に、これだけのギャップが生じているのだろうか。
この件に関してまず第一報が流れたのは、昨日の午後1時前後だった。
同日付の毎日新聞夕刊が、「三井住友銀も持ち株会社 年度内にも 生損保、信託の合流視野」という見出しを付けた記事を1面で報じてきたのである(最終版では1面トップ)。
仮にこの報道内容が事実だとしたら、完全に毎日新聞の“特ダネ”“スクープ”ということになる。
ところが三井住友銀行サイドは、この記事に対してすぐさま「本日、一部報道機関により『金融持ち株会社設立』との報道がありましたが、そういった事実はございません」とする全面否定コメントを発表する。
しかしその約2時間後、前述したような否定コメントが発表されていたにもかかわらず、NHKが午後3時のニュースで、毎日新聞の後追い報道をすることになったのだ。
毎日新聞が報道した段階では、この件に関してまだ半信半疑の状態にあった他マスコミも、NHKのニュースを受けて、何らかの対応をせざるを得ない状況に追いこまれてしまったといえよう。
「西川善文頭取は毎日新聞の記事に対して、『なぜ決まってもいないことが出るんだ−−』と激怒していました」(別の三井住友銀行経営中枢幹部)
それでは、毎日新聞やNHKの報道が、まったくの“ガセ”だったのかというと、そうとは言い切れない側面もある。
「それというのも、持ち株会社の設立をテーマに、三井住友銀行の担当者と金融庁の担当者が接触した事実はあるからです。しかし“接触”とは言っても、『どのような条件を満たせば、持ち株会社の設立は認められるのか−−』というようなレベルにすぎません」(三井住友銀行経営中枢幹部)
このコメントからも明らかなように、三井住友銀行が持ち株会社の設立に向けて検討を開始したことは間違いないといえるだろう。
「今後、三井住友銀行が総合金融業務、サービスを展開していく上で、持ち株会社方式への移行は有力な選択肢の一つです。総合金融グループ化を進めていく上で、持ち株会社の設立はその基盤作りということになるでしょう。とはいえ、この持ち株会社の下に、生保をぶら下げるとか、信託銀行も想定しているとか今の段階で言うことは、あまりにも早計です。だからこそ一連の報道は完全なフライングなのです」(前述同)
もっとも、今回の一連の報道は、金融庁サイドのリークである可能性が非常に高い。
そう考えると、三井住友銀行の持ち株会社構想は、金融庁が全面バックアップ体制を敷いているとみていいだろう。