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NYダウ・ナスダックともに続落し、とりわけナスダックは5年2カ月ぶりの安値を記録。昨年のエンロン問題以来、相次ぐ企業会計不信が市場下落の原因と言われますが本当にそれだけ?
■ 7月4日は無事通過も、会計不信再燃で株価は上昇せず
懸念されていた独立記念日テロはとくになく(ロサンゼルスでの銃乱射事件は「対米テロ」ではなかったものとします)休日明けのNY株式市場は久々に1日で5%程度反騰しました。しかしながら翌週に入ると会計不信が再燃し、再び以前の水準まで落ち込んでしまいました。株式市場のセンチメントはなかなか改善しません。
今週の会計不信の中心は医薬品大手のメルクです。同社は「健康保険加入者が薬局に払った自己負担金を売上計上することで売上高を水増ししていた」ことが問題になっています。製薬会社の売上は「薬が売れた分」ですので、薬局に販売した時点ですべて売上が完了しているのですが、それに「健康保険加入者の自己負担金」を加えて「売上高」としていたようです。この余計に加えられた自己負担金は同時に費用計上されていたため、利益には影響を与えていません。しかし、実際の売上以上に売上高を多く見せようとしていたこの手法に不信感がもたれたのです。
メルクは3年間で141億ドル(約1兆7千億円)売上高を水増ししていました。昨年の同社の売上は477億(約5兆7千億円)ドルですので、かなり大きい額であることがわかります。ただし、メルクの株価の下落はその後わずか7%程度です。水増しされているのが利益ではなく売上だったため、あまり大きな影響はないと判断されたのでしょう。エンロンやワールドコムのように破綻に至るようなものではありません。
■ 会計不信は株式市場下落の「原因」?「結果」?
昨年のエンロン以来、会計不信企業が続出しており、それが「相場下落の原因」であるといわれています。たしかにそうした側面はあると思いますが、「会計不信はバブル崩壊という株式市場下落の結果である」と考えると、見方が変わってきます。筆者は現在の「会計不信」は、日本のバブル崩壊後の「証券不祥事」とまったく同じで、バブル崩壊によって、それまで問題にならなかったような恥部・暗部が白日にさらされただけと考えています。つまり、日本の場合バブル期以前から「飛ばし」や「損失補填」といった悪い風習が証券業界にあったわけですが、それが相場の崩壊により明るみに出てきましたが、現在の米国ではそれが「会計」や「アナリスト」に対する不信というかたちで出てきています。それらは両方共に「株式市場下落の原因」ではなく「株式市場下落によって炙り出された事実」に過ぎないと思うのです。
もしも「原因」でないのであれば、株式市場には既に相当の不信感が織り込まれていると思います。なにせ、市場の水準はテロ後のパニックを下回っているのですから。
■ 後は上昇のきっかけ待ち!
となれば、あとはきっかけだけです。しかしこれがなかなか見当たりません。景気指標がきっかけになるためには、「昨年10−12月期GDPプラス成長」以上のインパクトが必要でしょう。市場は第3四半期以降の成長率に対しては楽観的であるため、景気指標のインパクトは難しいかもしれません。あえていうなれば、設備投資が力強く伸びることでしょう。「景気」そのものに対する楽観はありますが、その中身は個人消費が引き続き堅調で、政府が引き続き支出を続けるというのが前提で、設備投資はそれほど強く伸びないと見られています。この点が予想よりもよければ、サプライズになるでしょう。
筆者がもっとも大きなサプライズとして期待しているのは「オサマ・ビン・ラディン」の身柄拘束、もしくは死亡確認です。これは相当のインパクトがあるでしょう。また、なにかとてつもない技術革新・新発見があれば一気に雰囲気が明るくなってきます。
しかし、こうした事が仮になければ、皆が絶望する水準に達するまで株式市場は達することになります。いわゆる「セリング・クライマックス」です。現在、ナスダックバブル崩壊から2年4ヶ月目に入りました。日本株はバブルから底値まで2年7ヶ月かかっており、最後の2ヶ月も約2割の下落を見せました。今回もそうなってしまうのでしょうか?
提供:株式会社FP総研