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国内半導体メーカー11社は11日、都内で記者会見し、次世代半導体の設計・製造に必要な基盤技術を共同で研究開発する新会社を設立したと発表した。日本の半導体産業は最新技術や生産設備の面で海外から取り残されつつあり、新会社はかつて世界を席巻した日本の半導体復活のカギを握る存在となる。
新会社「先端SoC基盤技術開発」(ASPLA)は、日本の半導体産業の将来に危機感を抱いた経済産業省の主導で設立され、富士通、日立製作所、松下電器産業、三菱電機、NEC、東芝が各1億5000万円、沖電気工業、ローム、三洋電機、シャープ、ソニーが各1000万円を出資して約150人体制でスタートする。
社長には東芝の川手啓一・半導体情報技師長が就任し、来年3月には大口株主の6社が増資を引き受け、資本金を18億5000万円に引き上げる。研究設備は国の予算315億円を使って、神奈川県のNEC相模原事業場内につくられる。
新会社は、微細加工や配線設計などに高い技術が必要なシステムLSI(大規模集積回路)の開発にあたり、特にいくつものシステムLSIの機能を一つのチップに収められる「システム・オン・チップ」(SoC)の開発に重点を置く。
SoCは将来、需要の伸びが期待できる次世代携帯電話や、インターネットにつながる家電製品などに不可欠の部品とされ、数センチ四方のチップに多くの機能を詰め込むために、現在は90ナノ・メートル(1ナノ・メートルは10億分の1メートル)の微細な加工を施せるかをめぐり、世界的な競争が繰り広げられている。
新会社は、最も実用段階に近い90ナノ・メートルの技術を世界に先駆けて開発して参加各社に提供し、日本の半導体業界全体の競争力復活を目指す。
世界の主要半導体メーカーが加盟する「世界半導体市場統計」(WSTS)の予測では、世界の半導体の市場規模は2001―2005年に年平均10%成長するが、地域別では日本を除く中国などの伸びが目立ち、日本は取り残されかねない状況だ。
日本の半導体メーカーは、SoCなどシステムLSIの技術力を生き残りのカギと位置づけ、日立と三菱電機、東芝と富士通などが相次いでこの分野での事業統合や提携を決めている。
それだけに業界には、新会社によって国内の基盤技術が共通化されれば「製造部門を完全に1本化し、各社は設計・開発に集中することで国際競争力を高められる」との期待もある。
しかし、新技術を業界復活にどう結びつけるか将来像はまだ見えていない。
(7月12日00:37)