現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
(回答先: またDdogです。 投稿者 Ddog 日時 2002 年 7 月 11 日 01:22:54)
Ddogさん、こんにちわ。
レスありがとうございます。
>貨幣労働価値説の講義は終了しているのですかネ?
>通貨三つの機能のうち、価値尺度機能と交換手段機能については、その得意の労働価
>値説で説明を試みられておりますが、価値の貯蔵機能についても上手に講義して欲し
>いところです。
貨幣労働価値説ではなく、財労働価値説です。
価値の貯蔵機能については、預金及び金融財に関する項で説明する予定です。
>ところで、私の理解力がないのか、この近代国民経済モデルは、まったく解りません
>ね。この近代経済モデルは、ポルポト政権下のカンボジアですかね?少なくとも資本
>主義経済ではない。
>近代経済、資本主義が形成されるには、資本の蓄積が必要ですし、存在している。
モデルは、そこで生存している人々が近代的技術を保有していることが前提で、資本の蓄積は不要です。(ポルポトのカンボジアは、近代的技術を内包した活動力主体もいなければ、近代化も志向していません)
資本は、銀行による貸し付けで担われます。(自己資本でも借り入れでも、利息分を余計に稼がないと資本の増殖ができないことを除けば、同じことです)
戦争で荒廃した敗戦後の日本をさらに悪化させた状況が出発点だと考えてもらえば近いものがあると思います。(日本には近代的技術を駆使できる人がその時でも多くいました)
>Aで生産して、Bが卸て、Cで販売する?特殊理論ですな。
AもBも生産・販売経済主体で、Cは販売経済主体です。
>A社はその原料を供給する社Z,X,Yよりその労働価値+利益でBへ供給するビジ
>ネスモデルがなければ、A社ははじめから存在しない。B社はA以外DEFGHから
>仕入れることにより、C社に対して存在意義があり、はじめて利益を得る。
>また、C社もB社から仕入れたものだけ販売していたら、C社のビジネスも存在しな
>い。
まず、本文で利用したモデルの構造を簡単に説明します。
A社は、生産する生産財を自己が保有する土地から取り出し原材料として使える経済主体です。(A社は、鉱山・農場・機械製作所が合体したコングリマリットと考えてください)
B社は、A社から購入する製造装置でA社から仕入れた原料を加工して様々な生活財を生産している経済主体です。
C社は、B社から生活財を仕入れて、A社・B社・C社のオーナー及び被雇用者にそれを販売している経済主体です。
経済主体をこの3つにしたのは、単一経済主体モデル(先日書き込んだ「独占モデル」)では現実性が乏しすぎるし、10や20の経済主体では説明が長くなりすぎるからです。
A社と同じ使用価値を持つ財を生産する経済主体が他に1千社あり、B社及びC社と同じ機能を持つ経済主体が他に1億社あって、それぞれが競争的に経済取り引きを行っているモデルでも、論理的にはまったくことです。
それであっても論理的に同じであることは説明が長くなりますので、次のように考えてください。
完全競争であれば、1千社のなかでもっとも高い「労働価値」を達成した経済主体が生き残り、1億社のなかから、同じ理屈でB社とC社が生き残ると考えても不思議ではあります。
どういうモデルでもかまいませんから、複数の経済主体が存在し、閉鎖国民経済で経済活動を行い、貸し付けをした銀行が利息もきちんと付いたかたちで返済を受けられる論理を、Ddogさんに提示していただければ幸いです。
貸し付けという経済取引が考察で邪魔ということであれば、すべての経済主体が自己資本で経済活動を行って、個々の経済主体の損益合計がプラスになるという説明でもかまいません。
>(近年卸売り業者は、小売り業者化し、小売り業者は卸売り業者化してますネ)AB
>Cしか存在しなかったら当たり前じゃないですか。ABCの閉じた社会から一方的に
>イスラム銀行が、10%も金利取ればABCは利益を上げるどころか存在不可能で
>しょう。
ABCという経済主体の数は本質的な問題ではないことは前述を参照してもらうとして、イスラム銀行が要求する金利が10%ではなく0.01%であっても同じことです。
>近代成長過程で、外部からの通貨流入以外に成長を遂げていく方法はないにも一部異
>議あり。資本主義の成立過程の歴史は知ってますよね?資本主義は外部の資金流入で
>発生したのではない、行動的禁欲による資本の蓄積からではないでしょうか。マック
>スウェーバーのプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神で説明されている。(すいませ
>ん見栄はりました、元本は読んでません、山本七平 日本資本主義の精神他で)資本
>主義の精神(行動的禁欲)なくして資本主義が成立せず、成立するや、自らの淘汰法
>則で…疲れますのでこのへんで。
小室直樹氏も従来からそのように述べ「日本人のためのイスラム教原論」(推奨書!)でもそのような説明をされていますが、行動的禁欲で資本の蓄積は可能ですが、そのようなかたちで蓄積された資本を保有している経済主体数万から構成される国民経済であっても、外部国民経済に生産した財を輸出(販売)して通貨(貨幣的富)を得なければ、個々の資本が別の資本の損失を伴うことで資本を増殖させることはできても、総和としての資本の増殖を実現することはできないというのが、本文で書いた論理の趣旨です。
(山本七平氏の「日本資本主義の精神」も読んでおります)
マックスウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」は、訳本で読みましたが、経済論理とは別次元の解釈や説明でしかありません。
>話は少々戻って、第3の貨幣の機能 価値を貯蔵する手段の話です。現在のようにリ
>スク回避志向が最大化した社会では、貨幣論の要です。価値の貯蔵どころか、日本で
>は、郵便貯金に退蔵され、資金が天下を回らない。労働価値も退蔵されていると?労
>働価値で貨幣を計測できるとはなんとなくまだシックリこない。
このあたりの説明は後日詳しく行いたいと思っていますが、資金が天下を回っていないのは、公的債務及び私的債権(債務)を“価値減価”なしで処理するために資金が使われていることが主要な要因です。
“労働価値も退蔵されていると?”という投げかけですが、「労働価値」が十全に実現されていない状況と言ったほうがいいでしょう。経常収支が黒字でありながら、上場企業全体で赤字ということはそういうことです。
理由は、財に転化されている「労働価値」未満の価格で財を売っているか、「労働価値」に照らせばそれほど生産や販売に人を必要としていないのに人を雇用し続けているかです。(後者は、操業率の低下や利益率の低下として現象し、見掛けの「労働価値」を低下させます)
「労働価値で貨幣を計測できるとはなんとなくまだシックリこない」については、“労働価値で財の価格は規定され、その値は、通貨で表現される”と軽くお考えください。
近代経済学とは異質な説明論理なので、シックリしてもらえないことは承知しておりますので、不明な論理やわかりにくい箇所はレスをください。
>マーシャルのKがどうも日米で上昇しているらしい。(詳しい最新数値が発見できな
>かったのでどなたか教えてください。)マーシャルのKは(M2+CD)/GDP、
>一定の経済活動をする場合どれだけ資金が必要かの指標で、よくバブル経済の説明に
>多様されました。経済に必要なマネーはその経済自身の規模で決まりますが、マー
>シャルKの上昇しているということは、やはりグローバル経済の血液の流れが止まり
>かけているのということでしょうか?
現金主義(笑)なのでM2+CDをマネタリーベースとは見ない立場ですが、“マーシャルのK”という経済指標については、基本的に、「信用創造力」と「金融財取引比率」で規定されるものと考えています。(外国への資金流出も“マーシャルのK”を高めます)
これは、貯蓄比率が高く金融財の取引比率が高ければ、“マーシャルのK”が高くなるというものです。
日本経済の“マーシャルのK”は図抜けて高いはず(1を超えているでしょう)ですが、それは、「貯蓄比率が高く金融財の取引比率が高い」からです。
“マーシャルのK”は、経済状況を現す有用な指標だとは思っていますが、「一定の経済活動をする場合どれだけ資金が必要かの指標」だとは考えていません。
「グローバル経済の血液の流れが止まりかけている」というより、「信用創造」が膨らんでいるか、実物財(労働成果財)に向けられる通貨の量が減っていることではないかと思います。